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恋にとどくまで~梨々の恋 16step

16step



 涼がいない一ヶ月の間、梨々は苺花と大和を交えて、三人で遊ぶことが増えた。

 今日も三人でカラオケに来ている。

 だけど、梨々は邪魔なんだろうって時々思った。

 誘われても梨々が遠慮すれば、大和が苺花に告白するチャンスがきっとあって。

 ちょうど苺花も今はフリーなんだ。

 大和が告白すれば、もしかすると気まぐれにオーケーするかもしれない。

 そうだ。

 今日は用事があるからと言って、先に退散するとしよう。

「あ、もしもしー」

 急に苺花の携帯が鳴って、苺花が誰かと会話を始めたので、大和が気を利かせて

カラオケの曲のボリュームを絞った。

「ハイハイ、オッケーです。行きますー」

 苺花は言うと、携帯を閉じてこっちを見た。

「ごめん、梨々、大和。私、用事が出来たから行くね」

 しまった。苺花に先を越された。

「どこ行くの?」

「新しい男になるかもしれない人のところ」

 苺花が意味深な笑みを浮かべた。

「1回やったら、わりと上手だったからっ」

 ふふっと笑って、苺花は肩をすくめる。

 苺花は、エッチの良し悪しで相手を決めるんだろうか。

 じゃあねー、と苺花はカラオケの支払いもせずに、行ってしまった。

 結局、カラオケ代は大和と半分ずつ払ったけれど、お金よりも苺花の行動のほうが、

大和にとってはショックだろうなって思った。

「ドラクエしてく?」

 だから梨々は、大和の好きなドラクエに誘ってあげた。

 苺花がしていることに比べれば、梨々と大和がゲームをするくらい可愛いものだ。

何でもないようなことなのだ。







「その後、新しい彼になるかもの人とはどう?」

 大和の気持ちを考えて、梨々はさりげなく苺花に探りを入れた。

「あー、あれね」

 学校の帰りに、ファーストフードの店に寄っていた。

 苺花はシェイクをストローで一口飲むと、梨々をチラッと上目使いで見る。

「女いたから、やめた」

「女いたの?」

「いたのよ。彼女いないとかウソついてさ。そんなに私とやりたかったのかなって

感じ。最悪でしょ? 創樹思い出しちゃったよ」

 苺花はハアッとため息をついた。

 苺花には悪いけれど、梨々は心の中で「やったー」と叫んだ。

 今こそ、大和の良さをアピールするチャンスだ。

 大和なら彼女もいないし、ちゃんと苺花のことを好きだと思っているんだから。

「やっぱ、若い男はダメだよ。まだ自分が遊びたいわけじゃん? こっちも遊び

たいんだけど、遊ばれるのはイヤよね。はー、そう考えるとやっぱり大人がいい

な。早く紹介してよ、雅人さん」

「……ん」

 大和をお勧め出来なかった。

 大人とは程遠いよね。

 雅人と大和なんて、比べなくてもその差は歴然としている。

 梨々は、大和のほうが雅人よりいいと思うけれど、きっと苺花に大和は物足りないだろうな。

「で、どうなの?」

 ふいに苺花に問われる。

「どうって、何が?」

 首を傾げて苺花に問い返す。

「涼のことよ。何か言ってきた? それとも本当に一ヶ月何もないままなの?」

「……ないままなの」

 涼の言っていた予定の一ヶ月は、もうすぐだ。



 あと一週間。


 予定通りなら、あと一週間で涼が帰ってくる。そして涼からの返事がもらえるんだ。


「待ってるつもり?」

「うん。待ってる」

「はー、健気だね、梨々。私だったら適当にやって過ごすな。ちょうど大和とか

手ごろに側にいるわけじゃん? やったら案外すっごいかもよー」

「だったら苺花がやってみればいいじゃん」

 言ってやった。

「ええっ……、ダメよ私は。だって、大和は……私なんか相手にしないよ。私なんか

さ、梨々じゃないしっ」

 苺花は、勢い良くシェイクをぐるぐるとかき回している。

 何かまずいことでも言ったのだろうか。

 苺花はそれきり、怒ったような態度になって、梨々とまともに喋ってくれなくなった。




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あまり進展ありませんでしたね~。次回は急展開!?(本当かな~)お楽しみに。

★17stepに続く

恋にとどくまで~梨々の恋 15step

梨々の恋~15step




 たくさん歌ってスッキリしたのは、苺花だけだったようだ。

 無理やり呼び出され、つき合わされ、しかもお金まで割り勘にさせられた大和は、

やっぱり可哀相だ。

「じゃあねー、梨々。ちゃんと送るのよ、大和」

 ヒラヒラと手を振って、苺花がバスに乗って行った。

「苺花、創樹さんと別れたらしいよ」

 大和と並んで歩きながら、梨々は大和に教えた。

「知ってる。創樹さんが言ってたもんな。ひっでー言葉で別れを告げられたらしくって、

創樹さん落ち込んでる」

「ひどい言葉って、どんな?」

「……下手くそなんだって」

「ああ、そう言えばそんなこと、苺花が言ってたっけ」

「苺花って、毒舌だよな」

「ハッキリしてるよね」

「自由人だよな」

「そうだね」

「俺じゃあ、相手にされないよなって最近思う」

「まだ苺花を想ってんの?」

「……まあ…。そういう梨々こそどうなってんの」

 梨々は、ありのままを大和に話した。

「そっか。複雑」

 そうやって話しながら歩いているうちに、梨々の家に辿り着く。

「寄って行く?」

 誘ったら大和がうなずいた。

 玄関に入ると、そこに父の靴があった。

 今日は平日で、まだ5時なのに何でいるの?

「大和、先に部屋に行ってて」

 梨々は大和を行かせると、父の部屋を覗いた。

「お父さん、何してるの」

「ああ、梨々」

 父は旅行バッグに荷物を詰めている。傍にはダンボールに詰まった洋服があった。

「急に福岡に転勤が決まったんだ。とりあえず身の回りのものだけ持って行く」

「長いの?」

「5年したら戻ってくる」

「……梨々は?」

「一緒に行くか?」

 父が梨々をじっと見ている。

 こんな風にちゃんと顔を見たのは久しぶりだ。

「行かない。行ったって友達いないし、お父さんは忙しいでしょ? 一人ぼっちに

なるのは目に見えてるもん。ここにいる」

 今までだって、一人暮らしのようなものだった。

 友達がいる分、ここにいたほうがマシだ。

「そう言うと思ったよ。雅人には頼んである」

 だから何?

 雅人に頼んだって、それで済ませるの?

「友達来てるから、部屋行くね」

 父は、明日発つとか、連絡がどうとか言っていたけれど、知らない。

 イロイロ言われたって行くのは決定なんだし、梨々を置いて行くのも勝手に決めていたんだ。

 勝手に早く行っちゃえばいい。

 今まで通り、多すぎるお小遣いだけくれていればいいもん。

「あ、梨々。もういいのか? お父さん何だった?」

 部屋に入ると大和が振り返る。

 手にはコントローラー。テレビ画面にはドラクエが映っている。

「それ、梨々のゲームなのに、何で勝手にやってるの?」

「あ、ごめん。ヒマだったからさ、レベル上げしたら梨々が喜ぶかと思って。先には

進んでないから大丈夫……」

「もうゲームなんかしないっ」

 梨々はゲームのコンセントを抜いた。

「おい、壊れるって」

「いいのっ」

 梨々はベッドに倒れこんだ。

「お父さんと、何かあった?」

 大和が心配そうな声をかけてくれる。

「福岡に転勤だって。5年も」

「転勤?」

「明日行っちゃうんだって。梨々置き去りなんだよ」

「なんだそれ。梨々まだ未成年じゃん。普通、置いて行く?」

「そう言うひとだもん。梨々のこと雅人さんに頼んだって。けど、雅人さんとは

気まずいんだよ。仕事だって忙しいし、梨々だって頼まれたくない」

 大和が黙って梨々の頭を撫でてくれた。

 慰めてくれているんだろう。

「大和は、梨々のこと可哀想って思うの?」

「一人になるんだし、淋しいだろうし、心細いんじゃないかな」

「別に淋しいってわけじゃないよ。お父さんが梨々のことを持て余したり、

素っ気なくされたりして、愛を感じないのが悔しいだけだもん。お母さんだって、

梨々より男を選んで梨々を捨てた。あんな親たちならいらないんだ。一人のほうが気楽」

 梨々の思っていることが、ちゃんと大和に伝わっているのかわからない。

「俺がいるじゃん、梨々」

「……うん」

「俺なんかいつもヒマだし、いつでも遊べるよ」

「ありがとう、大和」

 胸がじんわり温かくなった。

「あのさ、どうせなら……その、梨々と、その……」

 大和が何か言いたげに、梨々をチラチラ見ながら言葉を濁している。

「俺……苺花が好きだって言ったじゃん? 実はあれさ……」

「あ、そうよ。苺花もフリーになったことだし、大和、告白のチャンスだよ」

 雅人を紹介してとか言っていたけど、梨々は大和の味方だから紹介してあげないつもりだ。

 大和に苺花は手に余るかもしれないけれど、大和が幸せになれるなら協力を惜しまない。

「苺花に告白しなよ」

「……そうだな。うん、そうだよな」

 自信がないのか、大和の元気がなくなった。

 それから大和は帰るまで、何故だか何度も深いため息ばかりついていた。




 
★16stepに続きます。
  
      ~大和ったら、タイミングが……。
  


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恋に届くまで~梨々の恋 14step

梨々の恋 14step




 涼は、呆れて言葉が出てこないって顔だ。

「涼……梨々は、涼が好き」

「……うん」

「好きなの、好き。本気なんだよ、好きで好きで……。ちゃんと一番に特別に涼が好きだから」

「ったく、好き好き言いすぎ」

 涼は梨々からふいっと目を逸らした。

 ガーン。

 やっぱり言い過ぎたんだ。

 呆れちゃったよ、涼……。

「ううっ……」

 しかも梨々、泣くなんて、超ウザイよね。

「ごめん、梨々ちゃん」

 降りて、と涼に言われる。

「……わかった」

 梨々の気持ちは、ウザイとこだけしか伝わらなかったみたい。

 梨々は車を降りた。

 好きだと言われて嬉しいのは、相手も自分に少なからず好意を持っている場合にのみなんだ。

 迷惑な、一方的な気持ちの押し付けだ。

「ちょっと考えさせて」

 運転席に座ったまま、涼が言った。

「来週から、北海道なんだ」

「ほっかいどー?」

 それって、何?

「氷の祭典ってイベントがあってさ、仕事で一ヶ月行ってくる。帰ってきたら返事をするから」

 それだけ言うと、涼はじゃあねって手を振って行ってしまった。

 ……こおり?

 ……一ヶ月?

「北海道、行くんだ?」

 ふらふらと家に入り、ベッドに倒れこんだ梨々は、まるで電池が切れた

ロボットみたいに動けなかった。




 一生分の告白をしてしまったようだ。





 パワー切れ。

 



 何がなんだか、わからなくなった。




  ☆  ☆  ☆




「創樹と別れちゃった」

 ふふっと笑って苺花が言った。

 始業式がすんで、学校の帰りにドーナツショップへ寄っている。

「次は誰と付き合おうかな。ねえ、梨々。梨々のオジサンって独身?」

「雅人さんのこと?」

「そうそう。やっぱ大人がいいよね。いくつだっけ?」

「28歳」

「そっか。微妙に若いけど、11歳差かあ。ま、いっか。紹介してよ」

「雅人さん、意外と固いよ」

 梨々は失恋気分を引きずっていると言うのに、苺花はいいなあ。前向きだな。

「そういう人が本気になったら、一直線なのよ。きっと激しく求められるに違いないわ~」

 苺花ったら、すっかり雅人に気に入られるって前提だ。

 大和の気も知らないで。

「あ、そう言えば涼とどうなった?」

「一ヶ月後に返事するって」

「一ヶ月? 何よその期間は。一ヶ月も待たせといていいと思ってんのかしら。

煮え切らない男ね、やめたら?」

「……だよね」

「そうよ。一ヶ月の間にうやむやにする気よ。何よ、ちょっとカッコイイからって

何様のつもりよ。こうなったら、梨々も新しい男、探しなさいよ」

 大和なんかどう? と苺花に言われる。

「大和は友達だもん」

 まさか、大和の気持ちを苺花に伝えるわけにはいかないだろう。

「だよね~、大和だもんね」

「どういう意味よ、それ」

「どうって、大和……バカなんだもん。鈍感だし、女心なんかちっともわかってなさそう」

 苺花は口を尖らせた。

 大和が聞いたら落ち込みそうなセリフだ。

 大和と自分の姿がだぶって見える。

 苺花に想いが伝えられない大和と、涼に気持ちを曖昧にされている梨々。

 大和も可哀想だし、梨々も可哀想でしょ?

「梨々、カラオケ行こうか」

「カラオケ?」

「暗くなってないでパーッと騒ごうよ」

 本当は騒ぐ気分じゃないんだけれど、苺花が大和まで電話で呼び出すもんだから、断れなかった。



★15stepに続く。

 梨々は涼をあきらめるのでしょうか。


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恋にとどくまで~梨々の恋 13step

13step


「……それって、大和のこと言ってるんでしょう?」

 涼は、梨々が大和と付き合っていると誤解しているから……。

「別れてないんだろ? 二番目は嫌だからな」

「付き合ってないよ、大和とは。大和は苺花が好きなんだもん。梨々は大和の恋愛相談に

乗ってるだけで、ただの友情だもん」

 良かった。涼に遮られることなく、今日はちゃんと言えた。

「相談に乗れるくらい、梨々ちゃんって恋愛経験があるんだ」

 すごいねって言われたけれど、素直に喜べるはずがない。

 間違いなく、からかわれているんだって、わかるからだ。

「バカにしないでよっ」

 強気で言ったつもりだったけれど、声が震える。

目の前がぼーっとなったかと思ったら、瞳から涙がこぼれる。

「ああ、そんなに嫌だった?」

 ちょっとだけ、涼の表情が困ったように見えた。

 こうなったら泣き落とす? 泣いて駄々こねて縋って脅迫?

「りっ、梨々はねっ」

 ぐすんと鼻をすする。

 ヤバイ、鼻水まで出そうだ。

 涙は可愛くても、鼻水はきっと引かれちゃう。

 バッグからハンカチを取り出し、口と一緒に鼻も覆った。

 吸収性が悪いハンカチ。本当はティッシュがいいんだろうけれど、カッコ悪くて使えない。

「梨々は、涼が好き」

 ちょっと、唐突だったけれど、言いたいのはそれだけなんだ。

「バカにされて悔しいし、涼が梨々を想ってないのも知ってる。子供だって思ってんのも

知ってるし、梨々が雅人さんの姪だからしょうがなく相手にしてくれてるのも、ちゃんと

全部わかってるもんっ」

 涼は、梨々の話に口を挟まない。

 梨々をじっと真正面から見ている。

 梨々のほうが負けそうになった。じっと目を見られて、緊張する。

 でも、伝えるんだ。

 ちゃんと気持ちを全部伝える。

「梨々はずっと本気で涼が好きなんだから」

 子供の本気を舐めるなよ!

「お、お母さんに捨てられて、お父さんからも放任されて。この前雅人さんにも見放された

んだから。それに大和は苺花が好きなの。梨々には涼しかいないんだからっ」

ああ、しまった。 ……これじゃあ、同情を買うだけ?

「ちょっと、出ようか」

 涼が立ち上がる。

「逃げるの?」

「違うよ。ここじゃ梨々ちゃんの声が大きすぎて他の人の迷惑になるだろ」

「あ……」

 ふと見回すと、梨々たち注目の的になっている。

 狭いカフェ内で、梨々の告白、ここにいる人たちにみんな聞かれちゃった?

 途端に恥ずかしくなって、誰とも目を合わせないようにして涼の後について店を出た。





 涼の車に乗って、また家まで送られた。

 車の中で話の続きをするものだと思っていたが、そんな雰囲気じゃなかった。

 涼も梨々も、お互い無言のままだった。

「じゃあね、梨々ちゃん」

 家の前まで着いてから、何もなかったように涼は言った。

「やだっ、降りないっ」

 シートベルトを両手でぎゅっと握り締めてから、首を振った。

「ふうん、ずっとそこに乗ってる気?」

「話が終わってないもん」

「……なんの話だっけ?」

 ムッカー! いい加減にしてよ、涼っ!

 梨々を馬鹿にして、そらすのもいい加減にしないと、梨々はマジギレするんだから。

「梨々は涼に告白したの。真剣に告白したのに、あんな言い方はなかったって気になった

とか、連絡なくてなんとかだったとか、言ったくせにまた今日も同じこと繰り返す気? 大

人のくせに学習しなさいよね。子供だと思ってバカにして。何回も言われなくてもわかって

る。涼は梨々が嫌いなんでしょー!」


 違う……。

 間違えた。


 嫌いなんでしょう、じゃないじゃん、梨々。

 そうだよ、って言われたらどうするのよ。

「梨々ちゃん」

 ああ、言われる。振られるっ。

 怖くてぎゅっと目を閉じた瞬間、梨々の頭に何かが触れた。

 そっと目を開けてみると、それは涼の手のひらで。

 チラッと涼の顔を窺うと、梨々を優しい目で見てくれていた。

「俺、正直……戸惑ってるし、確かに逃げてるよね」

 数回、目をパチパチと瞬かせて涼を見た。

「俺が好きになる女ってさ、何故だかみんな、本命がいたんだよね。本命に振り向いて

もらえないからって、俺に逃げてくるの。何でかしんねーけど、ずっとそう。いつだって

二番目。一番になったことがなかった」

 いつだって彼女を切らしたことがないと思っていた。


 二番目?

 そんなこと、初めて知った。

 涼を二番目にキープするなんて、その女たち目がおかしいんじゃないの? そうよ、きっと

感覚が変なのね。

「梨々が、好きだって言ってくれたのは嬉しかった。でも、大和がいるじゃんって

思った。またかよって、二番目かよって思ったら……素直には受け入れられないって思ってた」

 今こそ梨々の本気を伝えるチャンスだ。

「梨々は涼が本命だよっ、涼が一番! 涼が好きだもん、大好き。これまでもこれからも

ずっとずっと永遠に涼しか好きじゃない。結婚しよう、涼っ」

 勢いがついて、梨々ったらプロポーズしてしまった。



★14stepheへ続く

  涼は梨々のプロポーズにどう答えるんでしょうか?

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恋にとどくまで~梨々の恋 12step

12step


「久しぶり、梨々ちゃん」

 笑顔で、なんの躊躇いもなさそうな表情で、涼は梨々に挨拶をする。

「……仕事中でしょ、さぼってていいのっ?」

 照れ臭くて、顔が見れないどころか、こんな言い方しか出来ない。

 苺花は気を利かせてくれたんだろう。梨々たちから離れて、他の売り場を見ている。

「可愛いね、彼女。梨々ちゃんの友達なんだって?」

 涼が苺花を褒めた。

 涼まで、苺花なの?

「苺花は彼氏がいるんだから。それに涼よりずっとずっと大人な男しか

興味がないんだからね。それにすぐ浮気するから、涼なんか、遊ばれてすぐ捨てられるんだもん」

 言い切って、ふんっとそっぽを向いた。

「ふーん。落としがいのありそうな子だね」

「落とすの?」

 涼の言葉に梨々は心がズキンと痛くなる。

 やっぱり涼も、苺花を気に入ったんだ。

男の人の目には、外見も良くて華やかな社交的なタイプの苺花のほうが、

梨々より魅力的に見えるんだろうな。

 梨々なんか、特にどうってことない普通の高校生だ。

 恋愛経験もなければ胸もない。

 あるのは、モテないって言う事実だけ。

「どうしようかな。梨々ちゃんの許可が下りたらアプローチしてみようかな」

「ダメっ!」

 即答した。

 誰が許可なんかするもんか。

「そっか。じゃあ、落とすのやめる」

 ハハハと笑いながら、涼の手のひらが梨々の頭を撫でる。

「涼……」

 今度は胸がキューンと苦しくなった。

「8時に終わるから、地下の『ル・クル』ってカフェで待ってて」

「え……」

 涼は、じゃあね、と笑って売り場に戻って行った。

 



 涼は、苺花じゃなく梨々を誘ってくれた。

 あんなに気まずかったのに、誘ってくれた。

「良い方に考えてもいいんだよね?」

 苺花と一緒に売り場から離れるとき、聞いてみた。

「私ならこのチャンス、利用するよ」

「どうやって?」

 苺花を見ると、まるで自分が誘われたかのように楽しそうに言った。

「一度は断ったのに誘ってきた涼の真意は、きっと後悔したからだわね。本気で

梨々を断るつもりはないと考えられる。少なくとも嫌われてはいないと思うな」

 そこでね、と苺花は続けた。

「押すのよ梨々。ガンガン押してものにするのよ」

  





 8時に言われたカフェでミックスジュースを飲みながら涼を待っていた。

 苺花に気合を入れてもらった瞬間は、「良しっ、頑張るぞー」って思えた

けれど、時間がたつにつれ、気合がしぼんでいきそうになっている。

早く涼が来てくれないと、気合の欠片も消えちゃうよ。

 気持ちを落ち着かせるように、ミックスジュースを飲んだ。

「美味しいな」

 気分はドキドキだったけれど、ジュースはバナナベースのミックスジュースで、

ちょっと値段は高かったけれど、それに見合った味だった。

 たぶん、オレンジと桃も入ってる。

 粉々にクラッシュされたような氷の粒が、ジュースと一緒に

ストローを通って口に入ると、気分までスッキリしてくるような幸せな感覚に満たされてしまう。

「美味しいな~ホント」

 店の人が「いらっしゃいませ」と言うたびに、ドキンとして入り口を振り返る。

 そうして何回目かのドキンの後、涼が入ってきた。

「いないかと思った」

 涼は笑いながら、梨々の前に座る。

「あ、それ美味しいよね」

 梨々の目の前のジュースに目を留め、涼は同じものを注文する。

「この店のお勧めジュースなんだ」

 涼が教えてくれる。

 運ばれてきたジュースを飲む涼を盗み見て、梨々と同じものを飲んでいるんだ。

梨々のおなかの中と、涼のおなかの中はおんなじ物で満たされているんだ。

などと変な想像をしてしまい、何故だか恥ずかしくなった。

「なんか、赤いよ? 顔」

 ハッとして目を伏せる。

「そ、そうかな。なんか緊張しちゃって」

 ヘヘヘっと子供っぽく笑って誤魔化した。

「なんか、話でもあったの? 梨々、忙しいのに無理して待っててあげたんだからね」

 照れ臭くてそう言うのを、涼はちゃんと見抜いているらしく、軽く笑うと梨々に言った。

「この前はごめんね」

「この前?」

 本当は何のことかわかっていたけれど、気にしていると思われたくなくて、とぼけて問い返す。

「うん。梨々ちゃんが真剣に告白してくれてるのに、あんな言い方は

なかったよなって、ずっと気になってたんだ」

「……そうだよ。反省したの?」

 チラリと上目遣いで涼を見つめる。

「したんだ。梨々ちゃんが連絡くれなくなったのは、やっぱり傷つけちゃったからだろうなーって」

「連絡して欲しかった?」

「ハハッ」

 それには答えず曖昧に笑って逃げられた。

「涼は、梨々に言った言葉を気にしてたんでしょ? 連絡欲しかったんでしょ? 

それって、梨々が気になってたってことと同じなの?」

 我ながらストレートな聞き方だなあって思った。

 でも、曖昧な言葉じゃ涼には逃げられそうなんだ。

本当に涼と付き合えるんだったら、これくらいどうってことないよ。

 梨々って意外と押しが強かったんだな、と自分でもびっくりだ。

「そうだね、気になっていたのかもしれない」

 ストレートに返ってきたから、戸惑った。

「じゃあ、じゃあ涼は梨々と付き合う?」

「俺だけ見てない女は嫌だね」

 あっけなくかわされた。

 梨々は涼だけ見ているのに、そんな言葉は言われたくなかった。

 梨々は、涼の目をしっかり捉えて口を開いた。





★梨々は涼に何を言おうと??

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