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【8】引力みたいな力?

透弥はここへ来てから、ひとこともしゃべってない。

お邪魔します、とは言ったような気がしていたが、それだけだ。

いつも理花が座ってテレビを見る場所。

ベッドとテーブルの間、テレビの真正面の特等席に、透弥は座ってぼーっとテレビを見ている。

しかも、理花のお気に入りのクッションをぎゅっと抱きしめている。

不思議空間に見えた。

まるでいつもそうしてそこにあるかのように、しっくり部屋に馴染んでいる。

置物みたい。

と思った。

キレイな等身大の人形を置いているみたいな錯覚。

「理花、これあっちに運んでって」

樹に言われ、ハッと我に返る。

皿を手に持つ樹を見た。

「うん、OK」

樹は次々と料理を作っては、皿に盛り付けてゆく。それを理花が運んだ。

「よし!さあ飲もうぜ!!」

全ての料理とグラス、酒類を運び、テーブルにセットすると、飲みに行くより豪華な食卓になった。

「ワイン飲む?」

今日、初めて透弥が話しかけてくれた。

「うん、飲む」

理花がうなずくと、透弥がコルクを開けてワイングラスに注いでくれた。

「クラッカー食うか?」

樹がチーズを乗せたクラッカーを取ってくれる。

2人から優しくされて、ちょっといい気分だ。

ワイン1本。ビール、冷酒と飲んでいくうちに樹が倒れた。

「大丈夫~?」

理花もかなり良いが回っていい気分になっている。

倒れた樹の頭をぐしゃぐしゃとした。

「やめろ~」

一応抵抗しているけれど、起き上がる気力はないらしい。

それからすぐに寝息が聞こえてきた。

「眠っちゃった」

理花はつぶやき、特等席の透弥を見た。

透弥はグラスに残った冷酒を飲んでいる。酔っているのか、まだ飲めるのか、表情を見てもわからない。

ただついているだけの、面白くもなさそうなテレビをじっとみている。

理花は透弥の横顔を見つめた。

本当にキレイな顔だ。

男のくせに肌もきれいだし、ワイングラスを持っている手、そして指先からも目が放せない。

「あんまり見るなよ」

気づかれていたらしく、透弥がチラリとこっちに目だけを向けて言った。

理花は慌てて目をそらす。

「横に来る?」

透弥の言葉にどきんとした。見ると、透弥と目が合って……。

「おいでよ、一緒に飲もうよ」

横に行ったらどうなるんだろう。

急に心臓がドキドキ鳴った。

今まで何の素振りも見せなかったくせに、急に誘いをかけてくる。

「理花……」

目を見ていると、吸い込まれそうになる。

引力?

磁石?

理花はゆっくりと立ち上がると、透弥に引き寄せられるようにして傍に行った。

立ったままの理花の手を、透弥が引っ張って座らせた。

次の瞬間には、透弥に抱きしめられていた。

「っ……ん」

と思った次の瞬間には、透弥にキスされていた。

思っても見ない展開に、理花は息をするのも忘れていた。

唇を塞がれて、だんだんぼーっとなってくる。

何度も角度を変えて、透弥はキスを繰り返す。

ふわふわした気持ちになってきた。

『きもちいい』

理花は透弥の背中に腕を回し、透弥のキスをしっかり受け止めていた。












続く。

で、どこまでやるのだ?

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