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【9】ため息の休日

翌朝になって、透弥は樹と一緒に帰って行った。

午後から試験があるとか言っていた。

試験の前日に飲もうなんて、変な神経だと思ったが、

何も言わないでふたりを見送った。

結局、寝ていたとはいえ、すぐそばに樹がいたし、我を忘れて溺れるほどには

理花は酔っていなかった。

ベッドの上に誘われたとき、ふと我に返った理花は、首を横に振って断ったのだ。

だからと言って、透弥は怒るわけでも、強引に誘うでももなくあっさりと引いた。

それぞれ別の場所で眠ったけれど、理花はほとんど眠れないまま朝を迎えた。

透弥の気持ちはわからない。

朝、目を合わせても表情が変わることもなく冷静な態度だった。

理花のほうが意識しまくっていた。

あんなことをやっておきながら、そういう態度って……。

もしかすると、ものすごく酔っていたから記憶になかった。なんてことも考えられる。

酔いに任せて誘って、唇まで奪って。しかもちょっと胸まで触られてしまった。

好きだと言われたわけでも、付き合おうといわれたわけでもない。

ただキスされただけだ。

これじゃあ、キスのやり逃げみたいだ。



何も予定がないまま、だらだらと休日を過ごした夕方、紗夜から電話があった。

「暁登と付き合うことになったの」

電話の向こうの紗夜の、ちょっとだけ自慢げな顔が思い浮かぶような口ぶりだった。

「おめでとう。良かったね」

わざわざ教えてくれたのは、暗に邪魔するなって言いたかったんだと思う。

那絵のことがあったから、那絵から樹を取ったように思われているのだ。

理花は友達の男を取る気もないし、ふたりの邪魔をする気もまったくないのだが、

勝手に男が理花に近づいてくるのだからしょうがない。

無意識に誘惑してるのよ、と紗夜に言われたこともあったが、そんなの知らない。

紗夜の電話を切ったあと、ひとつため息を落とした。

どうして紗夜と友達してるんだろう。

疲れるだけなのに、どうしてなんだろうと毎回思う。

「紗夜も、私が嫌いなら係わらなきゃいいのに!」

携帯をベッドの上に置いて、その傍らに寝転んだ。

理花はじぶんから係わり合いたくないので、連絡はじぶんからはしない。

なのにいつだって紗夜のほうから連絡をよこす。

恨みがましく携帯を睨んでた瞬間、それに反応するかのように携帯が鳴った。

「……誰だろう」

見たことのない番号だった。

とりあえず出てみると。

「透弥のこと狙ってんのか!」

いきなり耳元で怒鳴られたからビックリした。

「誰?」

「誰じゃねーよ。声くらい覚えとけ!」

「は? わけわかんない」

「わかれよバカ! 俺だよ俺」




-------------

続く。

誰だよ~(笑)

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