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欲しくないプレゼント

「好きなの選べよ」

笑顔で彼に促された私は、高級そうなジュエリーショップの

ショーケースの中で光る、たくさんの指輪を眺めた。

彼と付き合い始めて以来、たくさんのプレゼントを貰っている。

誕生日やクリスマスでもない、記念日でなくても普通にプレゼントを

してくれる彼のことを、最初は優しいいいひとだと思ってた。

けれど、つきあって行くうちにだんだんそうじゃないことがわかってきた。


悪く言いたくないけれど、かなり浪費家なのだ。

このまえ、彼の部屋で見つけた携帯電話会社からの

督促状とカードローンの請求書。

こんな高級指輪を買ってくれようとする気持ちは嬉しいけれど、

お金を使う順番が違うと思う。

払うべきものはちゃんと払わなきゃいけない。

払えないなら、買ってはいけないのだ。

「迷ってるの?」

なかなか決めない私の顔を覗き込んで彼は言った。

「じゃあこれにしろよ」

彼の指差した先で、きれいなプラチナリングがきらりと光る。

「え、でも高いよ。こんな高いのもらったら悪いよ」

「いいっていいって」

私が断るのも無視して、彼は指輪を買ってしまった。

そう。カードで…


本当は私、ずっと欲しい指輪があったんだ。

ガラスのショーケースにも入っていない、お気に入りの雑貨屋で

見つけた1200円の値札がついた指輪。

プラチナでもなく、ダイヤモンドでもない。

その銀色の輪についたピンクのガラス玉がとても可愛くて、

とても欲しかったけれど、私にとって1200円は買うのに迷うほどの金額だった。


彼とは価値観が違う。

特に経済観念が、まったく反対なのだ。

最初は小さな「あれ?」だったけれど、それはだんだん

積み重なって大きな溝を作った。

彼は私と結婚したいと言ってくれるけれど、

私は彼と結婚する気はなかった。

たくさんのプレゼントをもらっても、そこに彼の誠意が感じられない。

欲しいのは「物」ではなかった。

それがわからない彼とは、結婚したって上手くいくはずがないと思う。

だけど、あんなにたくさんプレゼントをくれたのだ。

だから私も彼に、お返しをしたいと思っている。


たぶんもうすぐ、私は彼にプレゼントを贈るだろう。

お金がかからない最後のプレゼント。



「さようなら」の言葉を。

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