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あの森の夢を見た

あの木にはまだ、あの自転車が立てかけられたままで、相変わらず僕は、あの森のそばに通っていた。
木を背もたれにして、足を投げ出して座った。
森の奥をじっと見つめていると、いつのまにかものすごい眠気に襲われたんだ。
あれはきっと夢。
眠っている間に見た夢だと思う。
僕は、ふらふらと森に誘われるように奥に入って行ったんだ。
すぐに色とりどりのキレイな花たちが、道の両方にたくさん揺れているのが目に入る。
「こんにちは」
「ようこそ」
「やっときてくれたのね」
空耳だと思うけれど、花たちは揺れながら僕を歓迎してくれたんだ。
歓迎されているんだと思えたけれど、急に不安になった僕は、怖くなってすぐに森の入り口に向かって走り出しちゃった。
はあはあと息がきれる。
顔をあげると、あの自転車はちゃんとそこで待っていてくれた。
「なんだったんだろう」
つぶやくと同時に、ハッと我に返った。
僕はあの木のしたで、身体を横たえるようにして眠っていたようだ。


あれはきっと夢。
花がしゃべるなんて、ありえないもの。
きっと夢。
あたりは少し薄暗くなっていた。お腹がぐーっと鳴ったので、僕は家に帰る。
ご飯を食べながら考えたことは、明日もきっと森に行くだろうなってことだった。
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