スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

難しい話し合い-8

ずっと音信不通だった妻、香織が突然帰ってきた。
ちょうど僕は仕事が休みで、家にいた昼間の出来事だった。
香織は持っていた鍵で、勝手に入って来て僕と目が合うなり、固まっていた。
ちょっと笑えた。
口がぽかんと開いたまま、本当に固まっていたんだ。
「どうしたの」
久しぶりに会った香織に対する第一声がこれだ。
僕の言葉に香織は、ハッとしたように我にかえると、僕を無視してたんすの引き出しを探り出す。
そこには、印鑑や通帳を入れてあった。
今は置き場を変えてしまったから、そこにはタオルしか入っていない。
きっと僕のいないすきに香織は勝手に持ち出すことを考えていたんだろう。
「あのさ、香織。悠が会いたがってたよ」
唐突に伝えると、香織は無言のまま僕を睨みつける。
その顔を見たとき、「老けたな」って思ってしまった。
「今後のことと、悠のことを話し合わないといけないよね」
「今後なんかないわよっ! まだやり直す気でいるの? もう無理よ。話し合う必要なんかないわ」
そうじゃないよ。
僕だってやり直す気はない。
今後の話し合いって言うのは、離婚後の話だよ。
そう言う間もないくらい、香織はすごい剣幕で怒鳴りだす。
「湊が自分で言ったじゃない? 悠は自分が育てるって。私に押し付けようったって、いらないわよっ」
悠がいなくて良かったと思った。
悠のいない平日で良かった。
自分の子供なのに、そんな風に言える香織が、僕には理解出来なかった。
結局、何の話し合いも出来ないまま、香織は手ぶらで出て行った。

いったい、どういうつもりなんだろう。
何を考えているんだろう。
話し合う暇もなかった。



そして、その後。
何度か香織に電話をしてみたけれど、またつながらない日々が続いただけだった。
とりあえず、今も僕のそばには悠の笑顔がある。
どうなるか、全くわからないけれど確実なことはひとつ。
悠とずっと一緒にいられるんだって言う幸せだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。