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ずっと悠と……-7

言うつもりはなかったのだが、仕事がすんでから、白石さんに問い詰められた僕は、あっさり事情を話してしまった。
「悩みがありそうな顔を見てたら、ついお節介にも口を出したくなるのよね」
話を聞き出し終えた白石さんは、うっすら笑みを浮かべて、僕をじっと見ている。
「何かあったら、いつでも相談してね」
白石さんの微笑みに、危うくつまずきそうになるのを、あえて誤魔化しながら、僕は家に帰った。
白石さんは夜になって、僕の携帯に電話をかけてきた。
まだ何か言いたいことがあったのかと聞いていると。
『悠くんに、またご飯作りに行きたいんだけど』
などとごにょごにょ言っている。
「悠も喜ぶと思う。お願いします」
僕ったら、そんなことを言っている。
電話を切って振り返るとすぐに、悠が僕に聞いた。
「ハンバーグカレーのおばさん?」
「え……ああそう」
22歳でおばさんか。可哀相に、白石さんが聞いたら怒るよな。
「ふうん。いい人なら、結婚すれば?」
「結婚はできないな。まだ、離婚していないからね」
「離婚してないの?」
「してないよ」
「早く離婚すればいいのに。悠は、お父さんと二人でいいもん。お母さんなんかいらない。いなくても生活に困るわけじゃないもんね。でもお父さんが結婚したいなら、いいよ。その人が、悠と遊んでくれるならいい」
まだ、親に遊んで欲しい年頃なのかと思った。
僕は頭の中で想像していた。
僕と悠がキャッチボールをしているんだ。
その少し向こうの日陰に敷いたシートに、白石さんが座っている。
時々振り返ると、にっこり笑顔で笑って手を振ってくれるんだ。
「悪くないかも……」
僕はそんなことを考えながら、布団に潜り込む。そして目を閉じてさっきの続きを想像していた。

だけどそれが実現するかどうかは、まだ先の話。
将来のことなんか、今は何もわからない。
まずは離婚話をするところからなんだろうな、とは思うけれど、でも具体的にどう動き始めればいいかなんて、すぐには考えつかない。
今わかっているのは、きっと僕は悠と暮らし続けるだろうってことだ。
情けないし、頼りない。
たかが22歳の若造で、子供を育てていると言うよりも、一緒に成長させてもらっていると言う段階だ。
でも、暮らしていく以上、無責任に放り出すことは出来ない。
こんな父親だけど、悠に見放されないように、しっかり歩んで行こうと僕は思った。
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