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不登校の原因-5

「悠、今日はカレーでいい?」
「いいよー」
僕は野菜かごから、ジャガイモとたまねぎを取り出した。
皮をむき、切って鍋に入れる。冷蔵庫から人参を出してふと手を止めた。
「なんか、面倒くさいな……」
冷凍室からミックスベジタブルを出して、鍋にザラザラ入れた。
夕食の支度なんて、やりたくなくてもやらなきゃいけなくて、毎日毎日、
メニューを考えるのも、大変だし……。
「お父さん、肉は?」
「え……」
しまった。うっかりして肉をカレーに入れるのを忘れていた。
「溶けちゃったんだよ。今日はミンチよりも小さい肉の粉を入れたんだ。味はするだろ」
「……子供だからって、騙すのは良くないよ」
冷ややかに返された。
どうも悠は、冷めてていけない。子供らしい無邪気さと言うものが欠如しているようだ。
現実、担任教師からも言われた。
『悠くんは、考え方が大人です。けれど、そのせいでクラスのみんなの言うことが、
バカバカしいと言う態度を取るのは困ります』
協調性がないと言われた。自己中心的、一度決めたら絶対変えない頑固さ。
短気ではないが、一度キレると手がつけられなくなる。
悠にだって、良い所はたくさんあるんだ。それを見てくれず、悪いところばかり
指摘されると、教育がなっていないとか、父親失格だと言われているようで、辛いんだ。
確かに、僕の教育は甘いかもしれない。
けれど家にいる時の悠は、特に口を出さなくても、何でも自分でやるし、
手伝いもしてくれるいい子なんだ。僕の腰を気遣う優しさもあるし。
いい子が危ない、と言われるのも知っている。担任が言う事は事実だろう。
集団生活がうまく行かないのは、社会に出た時、致命的かもしれない。





そんなある日、急に悠が学校へ行きたくないと言い出した。
半分泣きながら、それでも僕の聞くことに対して、堅く口を閉ざしたまま
ハッキリ言おうとしないのだ。
それでも何とか登校は続けていたのだが、とうとう朝、起きられなくなってしまった。      
寝つきも寝起きも良かった悠が、決まって朝になるとおなかの痛みを訴えるようになったのだ。
この症状は本で読んだことがあった。
もしかして、学校でイジメにでもあっているんじゃないだろうかと不安がよぎる。
悠は、言いたいことはハッキリ言うタイプだ。
もしかすると、イジメられた子を庇ったせいで、今度は悠が標的になっているんじゃないだろうか。
問い詰めたわけではないつもりだったが、結果的には無理やり聞き出したようになってしまった。
悠は、クラスの女子に嫌がらせを受けていることが判明した。
すれ違いざまにわざとぶつかり、バーカと言われるのは日常だったようだ。
他にも陰で足をけられたり、プリントをぐしゃぐしゃにされたりしたらしい。
思い返せば、悠が持って帰ってくるプリントはいつも汚かった。
男の子だから、雑なんだろうなって、あまり気にしていなかった。
気付いてやれなかったのは悔やまれる。
『イジメの兆候が見られたら、必ず連絡帳に書いて連絡をしてください』
春の家庭訪問のときに、悠の担任は言った。
少し迷ったものの、もう悠は半月登校出来ていなかったのだ。
風邪具合が悪いとか、腹痛とか、果ては足が痛いと言うようになっていた。
食欲も落ちて、風呂場で急に叫び出したときは、さすがにヤバイんじゃないかと思った。
僕は連絡帳に事実を記入し、担任に報告をした。
すぐに電話がかかり、誰に苛められているのかを問い詰められる。
「え……言わなきゃいけないんですか?」
『言ってもらわなければ、解決しません』
「はあ……」
悠から名前は聞いていた。
相手は女の子3人だった。
──千春ちゃん、麻子ちゃん、涼子ちゃん。 
こう言うの、チクるって言うんじゃないかと、かなり抵抗があったが、
僕はそれで解決するなら……と甘いことを考えていたんだ。
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