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【16】迷惑な男

あれ以来、樹は毎日のようにやって来る。

透弥はメールは時々くれるものの、樹みたいに押しかけて来たことはなかった。

比べてはいけないけれど、行動力では樹のほうが、勝っていると思う。

一生懸命さは、樹のほうに感じる。

理花は今日、紗夜と那絵に呼ばれてちょっと飲んできた。

樹と透弥の2人に追いかけられていると知り、紗夜から聞きたくもないお説教をされてきた。

理花の態度に問題があるとか、返事をすぐにしないで待たせて、いい気になっているとか。

そんなんじゃないのに、そうだと決め付ける紗夜は、やっぱり友達なんかじゃないと思う。

そばで困った顔をするだけの那絵にしても、友達のフリをしているだけじゃないだろうかとさえ思えた。

単なる高校からの腐れ縁みたいなものであり、暇つぶしに八つ当たりされてる気さえしていた。

被害妄想なんだろうけど……。と、理花は自分の気持ちにも嫌気がさしている。

そんなムカついた気分のまま帰宅し、ドアの前にいる樹を見たら、ますます気が重くなった。

座り込んで待っていた樹は、理花に気がつくと立ち上がって笑顔で言った。

「お疲れ様。今日は残業だったのか? 遅くまで大変だな」

「ううん。今日は紗夜たちと飲んでた」

残業のほうがずっとマシだけどね、と思ったがそこは口にしない。

「じゃあ、腹減ってねーか。コレ、明日に回すかなー」

樹が持ち上げた袋の中身は、作ってくれる予定の食材のようだ。

いつもご飯を作ってくれるのは有り難い。でも、付き合っているわけでもないのに

食後も遅くまで部屋にいられるのは、正直すごく迷惑なのである。

どちらかと言うと、誰かと一緒にいるより、ひとりで好きなことをするほうが、理花は落ち着くのだ。

時々ならいいけど、こう毎日のように続くとうんざりしてしまう。

「今日はもうご飯も食べたし……」

だから帰って、と言いかけて口をつぐんだ。

樹にすれば、何時に帰ってくるかわからない理花を、ずっと待っていたのだ。

あまりはっきり迷惑だとも、言いにくい雰囲気で……。

「じゃあさ、ちょっとコーヒーでも入れてやるよ」

飲んだら帰るからさ。と樹に強引に決定され、理花もうなずいてしまう。

我ながら、本当に優柔不断だと思う。

嫌なら嫌だっていえばいいのに、言えないで後悔する。

そして、その不満はいつも一気に爆発して、もっと相手を傷つけることもある。

わかっているのに、繰り返してしまう嫌な性格だ。



部屋に入るとすぐ、樹はすでに慣れた様子でキッチンへ向かう。

そして慣れた手つきでコーヒーを淹れてくれた。

理花の座っている場所までカップを運んでくると、理花の目の前に置く。

樹は自分用のカップを手に持ったまま、理花に聞いた。

「あのさ、あの、隣りに座ってもいいか?」

理花の傍らに立って、樹は理花を見下ろしている。

「もう、こうして何日もここに来てるしさ、理花も部屋に入れてくれる。一緒にいて、

上手くいってると思ってるんだ。そろそろ、もうちょっと仲良くしたいかなーなんちゃって」

樹は持っていたカップをテーブルに置きながら、理花の返事も待たずに隣に座った。

「理花」

すぐそこに樹がいて、テーブルとベッドの間の狭い空間では、すぐに逃げることも出来なくて……。

「あの、まだ私、返事してないよ。まだ、付き合うって言ってない……」

やや身を引きながら、理花は樹に言った。

「透弥とは、やったくせに」

「あれは、だから、流れって言うか」

「流れでやれるんだったらさ、俺ともやれる?」

樹が迫ってきた。

毎日部屋に来て、ご飯を作ってくれて、ご飯を一緒に食べていた。

ただ、それだけだった。

樹は、理花の返事を待っててくれる。返事をちゃんとするまでは大丈夫、何もないはずだと、

どういうわけかそんな風に信じていたけれど、今日になって裏切られた気分だった。

「嫌……」

「……嫌?」

すぐに引いてくれるかと思ったのに、引かないどころか、樹は理花の肩に手を触れた。

「い……嫌っ! やめて!」

理花は樹の体を思い切り突き飛ばした。

「うわあっ!」

理花は自分でも驚くほどの力が出ていたらしい。

突き飛ばされた樹は、大袈裟に床に仰向けに倒れた。

「あ……ごめん。大丈夫?」

つい、手を伸ばしてしまった理花。その瞬間、手首をつかまれて引っ張られる。













あ~あ(@▽@)どうしよ~
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