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恋にとどくまで~梨々の恋 3step

 終業式も終わり、明日から冬休みと言う日、苺花が暗い顔をして声をかけてきた。

「クリスマスは彼女と過ごすんだって」

 創樹のことらしい。

 やめればいいのに、まだ二股され続けている。

 苺花を慰めるために、大和も一緒にファーストフードの店に来ていた。

「いつになったら別れるんだろ。冷めてるって言ってるくせに、何で彼女優先するんだろ~」

 食欲もないらしく、注文したシェイクをぐるぐるかき回したり、ポテトを指で挟んでは戻したりしてい

る。

「彼女と別れるってのは、ホントらしいよ」

 大和が言った。

「ホント?」

 苺花が席を立って、身を乗り出すようにして大和に詰め寄る。

「ん……。創樹さんが言うには、彼女って他に好きな男がいるらしいんだ。それに……」

「それに何っ!」

 苺花の勢いに、大和は身を引きつつ言った。

「いや。何でもねーし。ってゆーか苺花、創樹さんのこと本気なら、待っててもいいんじゃないかと思

う」

 たぶん大和は、創樹のホントの気持ちを知っているんだと思った。

 待っててもいいって言うことは、苺花にも可能性があるってことだと思った。

 まあ、梨々の考えだから確信はないけど。



 梨々は、苺花が帰ったあと、大和とカラオケにでも行こうかと思っていたが、大和も友達と約束がある

からと言ったので、しょうがなく一人で帰った。

「つまんないな」

 家に帰っても暇なので、雅人のいる会社に行ってみた。

 雅人は、父の弟だ。梨々にとっては叔父さんにあたるひと。

 最近ずっと大和と遊んでいたから、雅人に会ってなかった。

 久しぶりに事務所のドアを開けると、中はガランとしている。

 イベント会社だから、社員は現地に行っていて、昼間はいつだってこんな感じ。

びっくりすることじゃない。

 雅人は主任室にいるはずだ。

「雅人さーん」

 ドアをノックすると同時に開けて、梨々は中を覗きこんだ。

「お邪魔しまーす」

「ああ、梨々か」

 雅人は梨々に気付くと、優しく笑った。

「梨々ちゃん、久しぶり。大きくなったな」

 雅人と一緒にいたのは、桜井涼さん。

 雅人の大学の後輩で、そしてこのイベント会社の社員でもある。

 年は確か23歳。

 今まで何度も会ったことがあるけれど、梨々のことをいつも子供扱いする。

 初めて涼に会ったのが、中学に入学したばかりの頃だったから、その時のまま、梨々の印象が残ってる

のかもしれない。

 実は彼が梨々の憧れの人。

 かっこ良くて、背が高くて大人っぽいんだ。

「梨々は夏から3センチ伸びましたっ」

「成長期だね。いいね、若くて」

 6歳も年の差があれば、そう思われてもしょうがないのかもしれないけど、そう言う言い方ってバカに

されているような気がする。

「明日から冬休みなんだろ?」

 雅人が聞いた。

「うん」

「いいなー、学生は。社会人には冬休みがないもんな」

 雅人がしみじみとした口調で言う。それを受けて涼が聞いた。

「せっかくの冬休みなのに、遊んでくれる彼氏とかいないの?」

「何言ってんだ、涼。最近の高校生は進んでるとか言うけどな、梨々はそんなんじゃないんだ。暇でこん

なところに来るくらいなんだから」

 彼氏がいなくて暇だと思われるのは癪だったが、涼に彼氏がいないことを知ってもらうのは良かった。

「そうなの。暇なの、遊んで?」

 甘えるように涼に言ってみる。

「仕事中だよ」

 あっさり却下される。

「仕事すんだら遊んで」

「デートだよ」

 即効、失恋だった。

 確か、夏休みがすんだ頃、彼女に振られたと言ってたはずなのに。もう次の彼女がいるのか。

 涼を知ってから今日まで、涼に彼女がいなかったことがない。

 こんなにカッコイイんだから、モテるのは分かる。

 でも、会うたびに彼女が変わってるんだ。

 熱しやすく、冷めやすいタイプなのかもしれないと梨々は涼のことを分析している。

「つまんないな。じゃあ明日は?」

「明日こそ無理だろ」

 明日はクリスマスイブだ。しょうがないか。

「はあ、つまんないな。出会い系サイトで誰かと出会おうかな」

 そんな気もないくせに言ったら、雅人に怒られた。

「危ないことはするなよ」

「しないよ。言ってみただけだもん」

「じゃあいいけど。だいたい梨々が淋しいのは兄貴がほったらかしてるせいだ。仕事ばかりして、梨々が

可哀想だ。非行に走らないのが不思議なくらいだよ」

 雅人は大きく息を吐いた。

「非行に走って欲しくなかったら、ちゃんと遊んで」

 涼が遊んでくれないなら、雅人でもいい。

「梨々ちゃん、もう高2だろ? おじさんに甘えてないで、甘えられる彼氏作りなよ」

「余計なこと教えるな、涼。梨々は彼氏なんか作らなくていいからな。僕も時々なら遊んでやれるし」

 雅人が梨々の頭を撫でてくれる。

「見てらんねー」

 涼が呆れたような目を向ける。

「そんなんじゃ梨々ちゃんに彼氏が出来たとき、そいつ、殴られるだけじゃ済まねーなーハハッ」

「殴るかよ。いい奴なら僕だって梨々を任せるさ」

「さあ、どうだか。親バカならぬ、叔父バカだもんな、雅人さんは」

 雅人が梨々を大事にしてくれるのは、有難いことだと思った。だけど、本当にもし梨々に彼氏が出来た

ら認めてくれるんだろうか。もし、それが涼だったら、雅人は許してくれるかな。

 ──そんなはずないってば。

 梨々は心の中で、一人照れた。

 まさか涼が梨々の彼氏になってくれるなんて、そんな夢みたいなことが起こるはずがないよ。



 結局、梨々は雅人の仕事が終わるまでそこにいて、雅人と涼の仕事の邪魔をしていた。

「じゃあ、お疲れ」

 帰り際、去って行く涼の背中に梨々は言った。

「明日、彼女に振られたらメールしていいよ。梨々、遊んであげる」

 どうせ本気に取ってはもらえないのだ。

 冗談交じりで言ってみたら、

「いいよ。メールする」

 冗談っぽく返された。




 そう。あれはただの冗談で、本気で涼のメールを待っていたんじゃなかったはずだったのに……。



   4stepへ続く
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