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恋にとどくまで~梨々の恋 8step

8step




『サンセットホテルでディナーショーの仕事があるんだ』

 涼から電話がかかってきた。

「ディナーショー? 涼って有名人なの?」

『違うよ。ディナーショーに来ているお客さんに、料理や飲み物を運ぶ仕事だよ』

「ウエイター?」

『まあ、そんなとこ』

 涼の仕事はイベント関係だ。

 そんな仕事もするのか。

『明日は最終日だから、9時で終了。その後ならヒマだよ』

「いいの?」

 31日の夜に涼と会えることが決まった。

『終わったら家まで迎えに行くよ。ドライブでもする? カウントダウンの花火が見れるかもね』

「やったー!!」

 梨々は嬉しくて、つい大声を出した。

 電話を切った梨々は、わくわくとドキドキがすごくて、なかなか眠れなかった。

 そして翌日の夜、10時を少し過ぎた頃、約束通り涼が迎えに来てくれた。

「早かったね」

 梨々は言いながら車のサイドシートに座った。

「あれ、何かいい匂いがする」

 車に乗った瞬間、ふわっといい匂いが香った。

「ああ、後ろのシートに花があるから」

 梨々が振り向くと、シートに花束があった。

「ディナーショーの会場に飾ってあったやつなんだ。捨てるってゆーから貰ってきた」

「ふうん……」

 欲しいな、花束。

 そう思っていたら、ちゃんと涼のほうから言ってくれる。

「梨々ちゃん、いる?」

「いるっ!」

 涼は笑いながら、後部シートから花束を取って、梨々の目の前に差し出してくれた。

「ありがとう。枯れるといけないから、梨々一回戻って花瓶に入れてくる」

 まだ車は発車していない。

 梨々は車を降りると、花束を抱えて家に入った。

 嬉しい。

 涼が梨々のために貰ってきてくれたんだと思うと、このまま空に飛んでいっても不思議じゃないくらい

舞い上がってしまった。

「花瓶は……」

 ごそごそと物置を探った。

 普段、花なんか飾る習慣がないから、花瓶なんかどこかへしまったきりだ。

「ああ、わかんないや」

 そもそも、うちに花瓶があったかが疑問に思えてきた。

 しょうがないので、梨々は洗面所にあったバケツに水を入れて、その中に花を入れる。

「あーあ、せっかくの涼の花がバケツなんかに……」

 すぐに花瓶を買ってきて、入れ替えよう。

 花も気になるが、涼をいつまでも車で待たせておくほうが、もっと気になる。

 急いで外に出て、鍵を閉め、振り返ったそこに……。

「ウソ……」

 涼の車のそばに、雅人の姿があった。

 涼と何か話しているようだけれど、どう見ても楽しい話をしているようには感じられない。

 近づくことが出来ずに立ったままで見ていると、やがて雅人が気付いてこっちを振り向いた。

「梨々」

 すぐにこっちに向かって歩いてくる。

 眉間にしわを寄せて、梨々をじっと見てる。

 ──怒ってる?

「兄貴に、梨々がひとりでいるから様子を見てくれって頼まれたんだ。梨々はこんなことをするために残

ったのか? 苺花ちゃんと初日の出じゃなかったのか!?」

 苺花との日の出は残るための口実だった。

 梨々は答えられずにうつむいた。

「雅人さん」

 涼が車を降りて、梨々と雅人のところまで来ようとしている。

「うるさいっ、涼は関係ない。帰れっ」

 雅人は涼を怒鳴りつけ、追い返した。

「いや、雅人さん。何か誤解……」

「いいから、帰れって言ってる」

 涼の言い分も聞く耳持たないって様子で、雅人が涼を突き飛ばす。

 しばらく涼はどうしようか迷っていたようだけれど、

「ごめん、梨々ちゃん」

 謝ってから、車に乗って帰ってしまった。


「とにかく中に入りなさい」

 無理やり家の中に入らされて、リビングのソファに座る。

 雅人は、涼にもらった花束に目を向けた。

「涼にもらったのか?」

「……うん」

「梨々、僕に隠れて涼と会っているのか?」

「隠すつもりもないし、了解とる必要もないと思う。雅人さんがどう思ってるかわからないけど、ただ遊

んでもらってるだけだもん! 変なことないもんっ、涼はいい人だし!」

 梨々は頬を膨らませた。

「確かに涼はいい奴かもしれない。だけど、男だろ? どんなきっかけで間違いが起こるか……」

「梨々、子供だから大丈夫なのっ」

「いい加減にしなさいっ」

 雅人がテーブルをバンッと叩いた。

 びっくりして梨々は言葉を失くしてしまう。

「僕からみれば梨々は子供でも、世間の男たちから見れば、17歳は十分大人だ」



 それ以来、雅人は梨々を見張るように、うちに泊まりこんでいる。

 ドライブもカウントダウンの花火もなくなった。

 いくら叔父さんでも、梨々をこんな風に束縛する権利はないと思う。

 ムカムカする。雅人が嫌いになってきた。

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