スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋にとどくまで~梨々の恋 9step

9stepです。



 2日の朝も雅人と迎えてしまった。

 明日には父が帰って来る。

 せっかくの涼と一緒の、楽しいはずの日々を、雅人と過ごしてしまった。

 少し前なら喜んだかもしれない。

 少し前なら、梨々の一番は雅人だったんだから。


 夕方になって、大和がきた。

 どうして涼じゃないのよ。

「梨々。あの、これ……」

 大和は玄関先で、紙袋に包まれたものを梨々の前に差し出す。

「家族で旅行に行ったんだ。梨々に、お土産買ってきたから」

「梨々に?」

 大和の手から、お土産を受け取りながら聞いた。

「あ、この前なんか気まずくなったお詫びってゆーか。でも、苺花にも買ってきたんだ。

ついでに渡しといて」

 それだけ言うと大和は「じゃあなっ」と言って、逃げるように帰っていった。

 梨々は手の中のお土産を見つめた。

 梨々のはともかく、苺花には苺花に直接渡せばいいのに。

 リビングに戻るとすぐに雅人に尋ねられる。

「付き合ってるのか」

「え?」

「今の男の子は誰だ?」

 雅人ったら、こっそり覗き見してたのね!

「いいじゃん、誰でも」

「彼氏はいないんじゃなかったのか」

「彼氏?」

 それって、大和のこと?

「梨々は、彼氏がいるのに涼とも遊ぶのか?」

「っ……悪いのっ?」

 素直に言えなかった。訂正するのも面倒臭い。

「大和と涼は違う存在だもん。涼とエッチするわけじゃないんだし、遊ぶくらいいいじゃんっ」

 あー、ムカツク。

「もうほっといてよ。梨々もう子供じゃないんだからっ」

「自分で子供だって言わなかったか? ったく、子供じゃないなら尚更心配だろう」

「なによ、自分だって女の子とエッチするくせに! 梨々だってしたっていいじゃん!」

 雅人は見る間に顔を曇らせた。

 黙ったまま梨々を見ている。何も言い返してこない。

 言い返せないんだ、きっと。

「……わかったよ。悪かったな。干渉しすぎた。梨々は子供じゃない。

自分で考えて好きなようにすればいい」

 雅人は梨々に背を向けると、そのまま家を出て行ってしまった。

「……何よ……」

 突き放されたんだ。

 梨々のこと、呆れちゃったんだ。

「いいもんっ。好きにするもん」

 梨々は追い返されるのを覚悟で、涼のところへ急いだ。





「雅人さんから聞いたよ。好きにしろって言われたんだって?」

 玄関を開けるなり、涼は梨々にそう言った。

「だから来たの」

「何で俺なの?」

「何でって……」

「他にいるんだろ? 大和くんだっけ。あいつと遊べばいいじゃん」

「梨々……涼がいいんだもん」

「雅人さんから、散々釘を刺されたんだよね、梨々ちゃんに構うなって」

「涼は、雅人さんの言うことに逆らえないの?」

「そういうんじゃないけどさ、梨々ちゃん、大和くんと付き合ってるんだろ? 

俺のとこなんか来ちゃダメだよ」

「雅人さんが言ったのね! ムカツクあいつ!」

 涼には早く訂正しておかなければ……。

「大和とは──」

「俺や梨々ちゃんが、単に遊んでるだけだって言ったって、そういうの大和くんに

知られたらやっぱ、嫌だと思うよ」

「だから大和は──」

「付き合ってる奴がいる時は、そいつしか見てなきゃダメだ」

 梨々が弁解するスキを与えないくらい、涼は素っ気なく梨々をかわす。

「梨々のこと、嫌いなの?」

「そういう問題じゃないだろ」

「梨々は涼が好きなのにっ」

 涼はあからさまに困った表情を見せる。

「涼と付き合いたい」

「……それ、本気で言ってんの?」

「ずっと憧れてたんだから。やっと遊んでもらえるようになってきて、嬉しいんだから。

涼から見れば、梨々なんか子供過ぎて相手にしたくもないかもしれない。けど、しょうが

ないじゃん、好きになっちゃったんだから」

 まさか今日、こんな形で告白するなんて思ってなかった。

 こんないきなり、しかも言うつもりがなかったから、うまく言えていない。支離滅裂の告白だ。

 涼は戸惑っているのか、呆れているのか、何も言ってはくれない。

「大和はどーすんの?」

「大和は……遊んでるだけだもん。勝手に大和が来るんだから、梨々は何とも思ってないの」

「ふーん。そーゆー女、過去にいたなー。大和が可哀想」

「大和は……可哀想じゃないよっ。付き合ってないんだよ。ただの友達だからっ……」

「友達ねえ……」

 ため息混じりに涼がつぶやく。

「梨々ちゃんはそうでも、大和はそうじゃないかもよ」

「そうじゃない?」

「相手の気持ちも考えてやんなきゃな」

「じゃあ、涼だって、梨々の気持ちを考えてよ!」

 梨々は大和と違って、ちゃんと涼に気持ちを伝えたんだ。

 大和の気持ちより、梨々の気持ちを考えて欲しい。

「梨々ちゃん、俺が好きなんだって言ったよね」

「うん、言った……」

「そう言ってくれる気持ちは嬉しいよ」

「涼……」

「って、言ってやったら満足?」

 クラッとした。

「俺が好きなら、大和なんかと遊んでんじゃねーよ。部屋にあげんなよ」

 涼は梨々から、ふんっと目を逸らす。

「ホントは誰でもいいんじゃねーの?」

「そんなことは……」

「俺、梨々ちゃんのこと、好きになんねーよ。それでもいいなら付き合おうか?」

 涼の言葉に、梨々の思考回路は混乱した。

 付き合おうか?

 付き合ってくれるってこと?

 ……違う。

 好きにならないって言われた。



 涼は、梨々を100%拒否したってことだ。

 それでもいいから、付き合って欲しいとは、さすがの梨々も言うことが出来なかった。



 結局、今日も家まで送ってこられた。

 でも、追い返されないだけ、マシだと思った。

 帰れって言って、目の前でドアを閉められなかっただけいいじゃん。

ちゃんと車で送ってくれる涼は、優しい人だ。

「なんだかわかんないよ……」

 呟くとともに、枕に顔を埋める。

 本当に梨々のことが迷惑なら、ほったらかすと思う。もう来るなって怒ると思う。

 言葉は素っ気ないけれど、態度は優しい気がする。

 これって、梨々のいいように考えすぎなんだろうか。

 単に、梨々は雅人の姪だから、ひどく扱えないだけなのかもしれない。




★涼がなんだかわからないまま、10stepに続きます♪
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。