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恋にとどくまで~梨々の恋 12step

12step


「久しぶり、梨々ちゃん」

 笑顔で、なんの躊躇いもなさそうな表情で、涼は梨々に挨拶をする。

「……仕事中でしょ、さぼってていいのっ?」

 照れ臭くて、顔が見れないどころか、こんな言い方しか出来ない。

 苺花は気を利かせてくれたんだろう。梨々たちから離れて、他の売り場を見ている。

「可愛いね、彼女。梨々ちゃんの友達なんだって?」

 涼が苺花を褒めた。

 涼まで、苺花なの?

「苺花は彼氏がいるんだから。それに涼よりずっとずっと大人な男しか

興味がないんだからね。それにすぐ浮気するから、涼なんか、遊ばれてすぐ捨てられるんだもん」

 言い切って、ふんっとそっぽを向いた。

「ふーん。落としがいのありそうな子だね」

「落とすの?」

 涼の言葉に梨々は心がズキンと痛くなる。

 やっぱり涼も、苺花を気に入ったんだ。

男の人の目には、外見も良くて華やかな社交的なタイプの苺花のほうが、

梨々より魅力的に見えるんだろうな。

 梨々なんか、特にどうってことない普通の高校生だ。

 恋愛経験もなければ胸もない。

 あるのは、モテないって言う事実だけ。

「どうしようかな。梨々ちゃんの許可が下りたらアプローチしてみようかな」

「ダメっ!」

 即答した。

 誰が許可なんかするもんか。

「そっか。じゃあ、落とすのやめる」

 ハハハと笑いながら、涼の手のひらが梨々の頭を撫でる。

「涼……」

 今度は胸がキューンと苦しくなった。

「8時に終わるから、地下の『ル・クル』ってカフェで待ってて」

「え……」

 涼は、じゃあね、と笑って売り場に戻って行った。

 



 涼は、苺花じゃなく梨々を誘ってくれた。

 あんなに気まずかったのに、誘ってくれた。

「良い方に考えてもいいんだよね?」

 苺花と一緒に売り場から離れるとき、聞いてみた。

「私ならこのチャンス、利用するよ」

「どうやって?」

 苺花を見ると、まるで自分が誘われたかのように楽しそうに言った。

「一度は断ったのに誘ってきた涼の真意は、きっと後悔したからだわね。本気で

梨々を断るつもりはないと考えられる。少なくとも嫌われてはいないと思うな」

 そこでね、と苺花は続けた。

「押すのよ梨々。ガンガン押してものにするのよ」

  





 8時に言われたカフェでミックスジュースを飲みながら涼を待っていた。

 苺花に気合を入れてもらった瞬間は、「良しっ、頑張るぞー」って思えた

けれど、時間がたつにつれ、気合がしぼんでいきそうになっている。

早く涼が来てくれないと、気合の欠片も消えちゃうよ。

 気持ちを落ち着かせるように、ミックスジュースを飲んだ。

「美味しいな」

 気分はドキドキだったけれど、ジュースはバナナベースのミックスジュースで、

ちょっと値段は高かったけれど、それに見合った味だった。

 たぶん、オレンジと桃も入ってる。

 粉々にクラッシュされたような氷の粒が、ジュースと一緒に

ストローを通って口に入ると、気分までスッキリしてくるような幸せな感覚に満たされてしまう。

「美味しいな~ホント」

 店の人が「いらっしゃいませ」と言うたびに、ドキンとして入り口を振り返る。

 そうして何回目かのドキンの後、涼が入ってきた。

「いないかと思った」

 涼は笑いながら、梨々の前に座る。

「あ、それ美味しいよね」

 梨々の目の前のジュースに目を留め、涼は同じものを注文する。

「この店のお勧めジュースなんだ」

 涼が教えてくれる。

 運ばれてきたジュースを飲む涼を盗み見て、梨々と同じものを飲んでいるんだ。

梨々のおなかの中と、涼のおなかの中はおんなじ物で満たされているんだ。

などと変な想像をしてしまい、何故だか恥ずかしくなった。

「なんか、赤いよ? 顔」

 ハッとして目を伏せる。

「そ、そうかな。なんか緊張しちゃって」

 ヘヘヘっと子供っぽく笑って誤魔化した。

「なんか、話でもあったの? 梨々、忙しいのに無理して待っててあげたんだからね」

 照れ臭くてそう言うのを、涼はちゃんと見抜いているらしく、軽く笑うと梨々に言った。

「この前はごめんね」

「この前?」

 本当は何のことかわかっていたけれど、気にしていると思われたくなくて、とぼけて問い返す。

「うん。梨々ちゃんが真剣に告白してくれてるのに、あんな言い方は

なかったよなって、ずっと気になってたんだ」

「……そうだよ。反省したの?」

 チラリと上目遣いで涼を見つめる。

「したんだ。梨々ちゃんが連絡くれなくなったのは、やっぱり傷つけちゃったからだろうなーって」

「連絡して欲しかった?」

「ハハッ」

 それには答えず曖昧に笑って逃げられた。

「涼は、梨々に言った言葉を気にしてたんでしょ? 連絡欲しかったんでしょ? 

それって、梨々が気になってたってことと同じなの?」

 我ながらストレートな聞き方だなあって思った。

 でも、曖昧な言葉じゃ涼には逃げられそうなんだ。

本当に涼と付き合えるんだったら、これくらいどうってことないよ。

 梨々って意外と押しが強かったんだな、と自分でもびっくりだ。

「そうだね、気になっていたのかもしれない」

 ストレートに返ってきたから、戸惑った。

「じゃあ、じゃあ涼は梨々と付き合う?」

「俺だけ見てない女は嫌だね」

 あっけなくかわされた。

 梨々は涼だけ見ているのに、そんな言葉は言われたくなかった。

 梨々は、涼の目をしっかり捉えて口を開いた。





★梨々は涼に何を言おうと??

 13stepに続く。小説ブログランキング
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