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恋にとどくまで~大和と苺花(2)

大和



 何故だか苺花が泣きながら電話をしてきた。

 すでに眠り込んでいた俺は、意識が夢か現実か曖昧な場所にいた。

「何時だよ」

『三時っ! もう、時間なんかどうでもいいから来てよっ!』

「……は? どこ?」

 苺花は雅人と帰ったはずで、とっくに家で寝ているんじゃなかったのか?

『雅人のマンションの下よっ。いちいち説明しないとわかんないの?』

「わかるかよ」

 ため息混じりに言ったら、苺花に怒られた。

『いいから早く迎えに来なさいよねっ』

 何だか良くわからないが、泣いているんだ。こんな時間に女の子をほおってもおけないだろう。

 俺は洋服に着替えると、雅人のマンションまで自転車を飛ばした。

「もう、遅い! しかも何で自転車で来るのよ」

 これでも急いで来たんだ。迎えに来てやったのに、どうして怒られるのだろう。

「文句言うなら帰る」

「バカ大和。帰るなら来るな!」

「……帰んねーよ。はあ、何かわけわかんねーけど、乗れよ。送る」

 苺花を後ろに乗せて自転車をこいだ。

「大和」

 苺花が俺の身体に腕を回し、ぎゅっときつくしがみつく。

「ごめんね、大和」

「……いいよ、別に。慣れてるし」

 苺花は良く男に放置される。

 その度に迎えに呼ばれて来た。

 いつものことだから、どうってことはなくなった。

「私、雅人と別れた。喧嘩別れだよ」

「そっか」

 それでこんな時間に追い出されたのか。

 けど、女の子をこんな時間に普通、追い出すかな。

「雅人ね、私と大和が出来てると思ってるんだよ。大和のせいで別れちゃったよ。責任取って

付き合ってよ」

「はー、何それ」

 ムチャクチャだ。

「ホテル行こうよ、大和」

「もう、やめようよ。こんな状況で言うことじゃない。冗談にならない」

「本気だもん。行ってよ。帰りたくないもん。行ってくれないならここで下ろしてよ。そのへんの

怖い男捕まえて、強姦されちゃうからね」

 過激な発言。メチャクチャだ。

 だけど、失恋したてだし、ヤケクソで苺花ならやりそう。

「私がボロボロになったら、大和のこと恨むからね」




 半ば強制的に、有無を言わさないように強引に、苺花にホテルに連れ込まれた。

 ものすごく不本意だ。

 しかも苺花のやつ、俺を誘惑しようとしていたのか、エッチなビデオを見せようとしたり、シャワーを

した後にバスタオル一枚身体に巻きつけただけの格好で出てきたり、抱きついたり……。

 危うく苺花の誘惑に乗りそうになったじゃないか。

 自分の身体が、苺花に対して反応してしまったことに、ひどく狼狽していた。

 知り合ってすぐにエッチする苺花を、梨々は軽蔑していたんだ。

 付き合ってもいない苺花と、そんなことになって、もし梨々にバレたらきっと梨々は俺を

軽蔑するだろう。

 梨々は結婚したんだし、俺とどうなるわけでもないけれど、友達でもいられなくなるのは

避けたかった。




「え、俺が払うの?」

 ホテルのチェックアウトのとき、俺に当然のように全額支払いをさせようとする苺花に文句を言った。

「誘ったのはそっちだろ。半分出せよ」

「信じられない大和。女の子に払わせる気? かつてひとりもいませんでしたね、そういう男」

「知るか。いいから出せって」

「男は私の身体を好きに出来るんだから、ホテル代を出すのは当然なのよ。お小遣いくれる人も

いたっけなー」

「俺、苺花に何もしてねーし」

「しないほうが悪いのよ。せっかく私がしてもいいって言ってあげたのに、床で寝るなんてバカ、大和く

らいなものよ」

 結局、俺が全額支払う羽目になるんだ。



 やっぱりふに落ちない。不本意。
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