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【22】後悔先に立たず。。。

『……なに?』

電話に出た透弥の声が、あまりに素っ気なかったので、理花も素っ気なく返した。

「わたし、何日放置されるのかな」

透弥は黙ったままで、何も言わない。

「わたしたち、付き合ってるんだよね、こういうの付き合ってるって言える?」

不満が、声になってどんどん出てきた。

「付き合ってるのって、わたしの勘違いかな。どうなの?」

『さあね』

「何よそれ!」

まるで他人事のように透弥が言うから、理花は大声で反応してしまった。

『俺のほうが聞きたいんだけど』

今度は理花が黙り込んだ。

透弥が連絡して来ないように、理花も連絡していなかったのだ。

お互い、相手に放置されていると思っていたとしても無理はないと思った。

『樹とも上手くやってるんだろ? だから、俺なんか適当に扱ってるんだよね』

「え?」

樹と上手くやってる?

急に樹のことを振られて、理花の脳内処理が追いつかない。

『功至が、さっき見たって言うんだ。理花んちに樹が入ってくところ』

「あ……」

そうか。

さっき功至が来て、入れ替わりに樹が来たのだ。

見られていたとしても不思議はない。だけど、それは誤解だ。

功至も功至だ。

見ただけで、事実を確認しもしないで、透弥に告げ口するなんてひどい。

『結構長い時間、樹が出て来なかったらしいじゃん? 何してたかはどうでもいいんだ。俺、

言ったよね。他の男を部屋に入れたらダメだよって』

違ったかな? と透弥は理花に確認するように聞いた。

「それは……確かにそうだけど、でも……」

『言い訳するより、謝ったほうがいいと思うよ』

冷たい口調に、理花の心の中も冷えてゆく。

『功至が言ってた。理花は樹とも満更じゃないんだろって。俺のことがダメでも、

樹がいるから寂しくないんじゃないのかって』

理花の言うことに耳を貸さないで、功至の言ったことを信じて責める。

勝手に誤解して、勝手に怒って……。

『理花?』

「もういい。じゃあねっ!」

透弥なんかいらない。

大嫌い、知らない、もう会わない。

どうせもう終わり。

もともと、付き合おうって言葉だけで、何も始まってなかったんだ。

電話を切ったあとも、腑に落ちないイライラとモヤモヤで、どうしようもなく腹がたって、

我慢しきれなくて涙が出た。

衝動的に電話を切ってしまったことは、後悔してももう遅い。





翌日、イライラが治まらなかった理花は、仕事帰りに、同僚の桜井涼を誘ってみた。

年下の奥さんは、まもなく赤ちゃんを出産するらしく、里帰り中らしい。

退屈なんだと、最近聞いたばかりなのだ。

「高浜さん、飲みすぎだよ」

ヤケになって、ついつい飲みすぎた。

「誘われたときも思ったけど、高浜さん、彼氏で出来たって言ってただろ? いいの? 

俺と一緒に酔っちゃって」

「そっちこそ。奥さんの留守中に、わたしなんかといいの?」

誘ったらすぐ乗ってきたくせに、今さら何を言っているんだろう。

「別に何があるわけじゃなし、一緒に飲むくらいいいんじゃね?」

「そうよ。そうよね。いいのいいの。ふん、彼氏なんか!」

理花が言い放ったひとことは、しっかり涼に聞かれていた。

「ああ、もしかしてケンカ中とか? だからヤケ酒飲みたかったんだ?」

ケンカ中と言うより、たぶんもう終わってる。

でも、いちいち涼に説明するのも面倒なので、無視してだまっていた。

「これ以上飲まないほうがいいよ。送ってく」

涼に腕をつかまれた。

「送らなくていいもん。ひとりで帰れる。帰りたいなら、先に帰ってくれてもよくってよーだ」

自分でも何を言っているのか、わからないくらい酔っていた。

ちゃんとしゃべれているのかも、あやしい状況だ。

「先に帰ったら、他の男にさらわれそう」

そんなことを言いながら、涼が身体に手を回す。

抱えられるようにして、椅子からおろされた。

床に足をついて、やばいと思う。

足元がユラユラ揺れる。

頭もぐるるぐ回る。

とてもじゃないけど、ひとりではまともに歩けないどころか、立っているのもおぼつかない。

「ああ、ちょっ……大丈夫か?」

涼の声が遠くに聞こえた。

それからのことは、覚えていない。

完全に酔ってしまったらしく、気がついたときは自分の部屋のベッドにタイムスリップしていた。
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