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恋にとどくまで~大和と苺花(10)

大和



 翌日のバイトの休憩時間、椎名が言った言葉を俺は問い返す。

「苺花が……椎名に?」

「なんか急に電話で。ああ、番号は昨日交換したんで驚かなかったんだけど、何なんだろうな?」

「何なんだろう……って、苺花がそう言うんなら、考えてやればいいんじゃない?」

 俺に何だと聞かれたって困る。

 苺花が次の彼氏候補に椎名を選んだからって。

 苺花の彼氏の替わるサイクルの速さは今に始まったことではないし、昨日だってもともとそのつもりで

二人にしてやったんだし……。

「何もわかってないんだね、大和。本気で気付いてないわけ?」

 怒ったように椎名が俺に詰め寄るんだけど、何が?

 わかってないとか、気付いてないって……。

「何がだよ」

「苺花ちゃんの気持ちだよ」

「苺花の何の気持ち……」

「ダレが好きなのか、本当にわかってないのかって聞いてんの」

「……椎名じゃねーの?」

「バッカじゃね?」

「は? バカって……何なんだよ、椎名っ」

 いきなりバカなんて言われなきゃいけない意味がわからない。

「自分で確かめてみなよ。苺花ちゃんの携帯、見たことないんだろ?」

「苺花の携帯?」

「おおっと。これ以上は言えないんだけどね。ま、とにかく僕は苺花ちゃんとは付き合いません。て言う

より付き合えませんね」

 椎名は言うと、じゃあなって俺の肩をぽんっと叩いて、休憩室を出て行った。

 ひとり取り残された俺は、ちょっとだけ頭の片隅にチラチラ浮んでいた気持ちを思い返す。

 もしかしたら、そうなのかもしれないと、これまで何度か考えては、

違う、勘違い、思い過ごし、自惚れ。

 そう思い、打ち消していたことがある。

 ……苺花は、もしかすると俺のことを、好きなんじゃないかってこと。

 いつも冗談交じりに言っている苺花の言葉、ひとつひとつに対して、振り回されていた自分。

 いつの頃からか、まともに受け取ってはバカを見るんだと自分に言い聞かせ、相手にしないように心が

けていたっけ。

 時々、ふとした瞬間に感じる苺花の視線。

 言葉や態度が、以前とは違ってきたような気は、確かにしていた。

「けどなあ……」

 苺花は大人で、カッコイイ男が好きだ。

 エッチが上手じゃなきゃ問題外って思っているようだし、

俺なんか上手どころかやったことさえないのだ。

 もし万が一、仮に苺花の好きなのが俺としよう。

 でもいざって言うとき、まるで下手くそな俺のこと、鼻で笑われるんじゃないのだろうか。

 最悪、梨々に「大和ってねー、超下手くそなんだよー」とか吹聴されるかもしれない。

「冗談じゃねーってば」

 そうなったらきっと、俺は死にたくなるに違いない。

「冗談だよなー、アハハハ」

 考えていたことを自己完結し、俺も休憩室を出た。

 仕事に集中して、忘れようと思った。




  ★   ★   ★ 




 危うく強姦されかけて、一時期苺花は落ち着いていたようだったが、夏休みを迎えて間もなく、再び以

前のように遊び始めた。

「大和~飲みに来てやったよー」

 バイト先の居酒屋に苺花は、いかにも遊んでますと言う雰囲気の男を連れて飲みに来た。

「あれって、かなりヤバくない?」

 椎名も俺と同じように思っていたらしい。

 暖簾のすきまから、こっそり窺うように苺花と男のいるテーブルを見ている。

「髪が黄色だし、腕にお絵かきしてあるし……」

 椎名が男を控えめに描写している。

「彼氏……じゃないよな? って、おい大和。ほっといていいの? あれ」

 俺の服の裾を引っ張りつつ、椎名が心配そうに聞いてくる。

 最近、ほとんど苺花と接触がなかった。

 連絡も滞っていたし、苺花は苺花で元気にやっているんだろうと、思っていたんだ。

 避けられているのかもしれない、とは思って多少気にかかりはしていたけれど……。

「すいませーん」

 苺花がこっちに向かって手を振っている。

「オーダーしまーす」

 すでにどこかで飲んできたのか、苺花の頬がピンクに染まっていて、目も焦点が合っていないような感

じだし、呂律も回ってないような気がした。


 俺は苺花たちのいるテーブルへ行った。

「ご注文は……」

 言いかけたとき、遮るように苺花が男を指差して言った。

「大和ー、懐かしの大沢くんだよー」

「え?」

「高校で一緒だったじゃんねー? 忘れたのー? もう、大和は梨々以外誰も目に入ってなかったんだも

んねー」

 アハハと楽しげに笑う苺花の前で、大沢と言われた男は、俺を見てフッと笑った。

 高校在学中、こんなヤツはいた記憶がなかった。

「髪を伸ばしてー、金髪に染めてー、変わっちゃったから私も最初は大沢くんだって、気付かなかったん

だよー。でもね、正真正銘、大沢くんなのよー」

 苺花がそう言うならそうなんだろうが、本気で覚えていなかった。




 あまりに椎名がヤバイヤバイとしつこく言うので、俺もそうかと心配になった。

俺と椎名は二人が帰る頃を見計らって、店の裏口から表にまわり、二人を背後から呼び止めた。

「苺花!」

 すぐに二人は同時に振り返る。

「あー、大和。アハハ、椎名もいるー。どうしたのー?」

 ヘロヘロになってしまっている今の状態の苺花に、何を言ってもたぶん、まともに聞いてはもらえない

だろうと思った。

だけど、友人として見なかったことには出来ない。

いくら同級生だったからと言ったって、何となく雰囲気だけでも危なそうな男だ。

人を外見で判断するのは良くないとは思うが、やはり見逃すのは……何となく……。

「苺花、ちょっと話しない?」

「話? なあに~?」

「今はちょっと。今日は11時に上がるから待っててもらえると助かるんだけど……」

「俺の女なんだけど? 勝手な真似すんなよ」

 大沢が割り込んでくる。

 いかにも「俺のもの」と言う態度にムッとした俺は、負けずに言い返す。

「俺の友達なんだ。話くらいさせろよ」

「は? やだね。苺花が他の男と話すの嫌なんだ。苺花のこと見られるのも、ホントはイヤダ。もう苺花

に関わらないでくれる? 伊沢大和くん」

 フルネームで知られているってことは、やはり同級生なんだろうが、何かすっげー嫌なヤツじゃん?

「そう言うわけにはいかない。苺花、こっち来いよ」

 手を伸ばして、苺花の腕を掴んだ。

「触るなっ」

 その瞬間、すごい力で手を払われる。

「苺花に、触るな」

 大沢の目が怖い。

 普通じゃないと思った。

 情けないことに俺は何も言い返せなくなった。

「大和っ……」

 俺の後ろで、椎名が俺の服を掴んだまま、小さく言った。

「どうすんだよ、どうしよう」

 椎名は役に立ちそうになかった。

 もちろん俺も。

「気分最悪だな。帰るぞ、苺花」

 大沢が苺花の肩を抱き寄せる。

 苺花も大沢に身を預けるようにして、従っている。

 何故かひどく腹が立ったけれど、それ以上何も出来ないまま、二人を黙って見送ってしまった。





★大和も椎名もヘタレてました~。役立たず~。

 苺花はどうなるんでしょう。次回に続く。

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