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約束~冬休みの宝物

朝早くのバスに乗って、目的の駅に急いだ。

急ぎすぎて、予定時間より早く着いてしまった駅のホーム。

吐く息は白くて、ポケットの中の手も冷たかったけれど、

心の中はどきどきして、暖かだった。

やがて、ホームに列車の到着を知らせるアナウンスが響き、

どきどきはますますヒートアップしていく。

「あ、記念撮影」

私はバッグの中からデジカメを取り出して、ホームに入ってくる列車の写真を撮った。

清二くんが乗ってる列車。

かじかんだ手でシャッターを切ったから、あまりキレイに撮れなかったけれど、

これもいい思い出の一枚になるだろうと思うと、嬉しかった。

どれくらいぶりだろう、久しぶりに会って、どんな顔をしよう。

ちゃんと笑顔で会えるかな。

清二くんは、変わらず優しくしてくれるかな。

いろんなことを一瞬のうちに考えていると、列車が止まってドアから清二くんが降りてきた。

「おはよう」

「……おはよ」

いざ、目の前に立たれると、緊張してしまって恥ずかしくて、まともに挨拶もできなかった。

お互い、それきり会話がないまま一緒にホームの階段をおりる。

そして、約束していた目的の場所まで移動した。

並んで歩くふたりの距離は、微妙に離れている。

あんなに電話で話していたのに、いざ会うとどうしてこんなにぎこちなくなるのか。

会えたのに嬉しくないの?

会えたのに、どうして笑ってくれないの?

私の心の中は、不安でいっぱいになっていく。

だけどそれは、観覧車に乗ってしばらくすると払拭された。

もうじき頂上だと言うとき、清二くんがわたしの指に指輪をはめてくれたのだ。

どこに隠し持ってたのかわからないけど、いきなりだったから驚いた。

「これ、渡そうと思ってずっとドキドキしてたんだ」

あ~、緊張した。

と、笑う清二くんの顔が、真っ赤になってた。暑くないのに汗までかいてた。

いつも、わたしよりたくさんしゃべる清二くんが、

ずっと無口だったのは、これのせいだったのだ。

「うれしい、ありがとう」

「いまは、こんなのしかやれないけどさ、いつか本物の指輪を買うからな」

ラピスラズリのブレスレットとおそろいの青。

サファイヤの石は、わたしの誕生石だ。

宝物がまた増えた。

約束。

約束が叶えられた幸せと、また新たな約束が出来た幸せを、

冬休みに会えたあの日、同時にもらった。

約束は、わたしにとって、人生の中の大きな大きな宝物だ。











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