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恋にとどくまで~大和と苺花(16) 

大和


苺花に会おうと思ったものの、携帯がつながらなかった。

「壊されたって、椎名が言ってたっけ」

 携帯をパタンと閉じて、自分の部屋の本棚に立ててある、高校の卒業アルバムを取り出した。

 後ろのほうのページに、苺花の自宅の番号が記されている。

 自宅にかけるなんて、初めてだから緊張するが、気にしてなんかいられない状況だ、と気合をいれてか

ら番号をプッシュした。

 数回コールの後、苺花の母親だと思われる女性の声が聞こえる。

「あ……」

 不覚にも声が詰まった。

『もしもし? どなた? 嫌ね~、間違い電話かしら』

 切られそうな雰囲気を察知し、俺は一気に話した。

「伊沢大和と言いますがっ、苺花さんお願いします」

 しばらく、相手が無言になった。と、思ったら受話器からツーツーと言う機械音。

「あ、切れてた」

 一旦、俺も電話を切ってから、再び苺花の家へかけた。

 今度は、ちゃんと名乗れたし、苺花のお母さんもちゃんと答えてくれた。

『ああ、大和くん?』

 苺花の母親とは面識がない。

 話をしたこともなかったはずだけど……。

『苺花がお世話になってます』

 そうか。

この前、苺花をうちに泊めたことがあった。

 あのとき、母が苺花の家に連絡したんだっけ。

「いえ、こちらこそ」

 とりあえず挨拶を終えてから、苺花に代わってもらうよう頼んだんだけど。

『それがね、帰って来ないのよ。どこに行ってるんだか』

 あはは、と苺花の母親はなんでもないことのように、笑った。

『またどこかの男の人とでも一緒にいるんじゃないかしら』

 困った子ねぇ。なんて言っているが、ちっとも困っているようには感じられない。

 日常茶飯事なことで、慣れてしまっているんだろう。

 俺は電話を切って、深くため息をついた。

 どこにいるんだ、苺花。

 つかまらないと思ったら、どうしても会わなきゃいけない気になってくる。

 思いつく場所と言えば、椎名のところ。

 それか、雅人?

 涼と一緒かもしれない。

 いや、大沢ってやつといるかもしれない。

「わかんねーな」

 相手が多すぎる。

 もしかすると、全然知らないやつと一緒にいるかもしれないのだ。

 今、一番可能性のある涼にまず連絡を取ってみた。と言っても涼にではなく、梨々にだ。

『苺花の居場所?』

 苺花を知らないか、と聞いた俺に梨々は同じ言葉で問い返してきた。

『わかんなくなっちゃったの?』

「携帯が壊れてて、家にもいなくて……」

『ふうん。そっか。じゃあ、涼と一緒かもね』

 開き直っているのか、淡々とした声で梨々が言った。

「一緒って、苺花と涼ってどうなってんの?」

『知らないっ! 梨々に聞かれたってわかるわけないよ。梨々のほうが聞きたいくらいよ。せっかくのお

休みだっていうのに、朝から誰かに呼び出されて、絶対行かなきゃならない用事だって言って出かけた

の。きっと苺花よ。苺花に会いに言ったのよ』

 最後のほうは、声が震えていた。

 取り乱し、落ち着きをなくした様子の梨々が心配になった。

「梨々、大丈夫か? 俺、行ってやろうか?」

 答えはなかった。

「梨々?」

『来ないでよ。大和のせいよっ。大和が苺花を捕まえてくれないからよ。苺花は大和が好きなのに、受け

入れてあげない大和が悪いんだからぁ~』

 バカ~と言う声と共に電話は切れた。

 梨々の声が耳に残る。

 俺のせいだって?

 俺が苺花をつかまえておかないせいだって?

「は? なにそれ」

 もう切れてしまった電話に向かって、つい文句を言ってしまう。

 梨々は、苺花は俺が好きって言った。

 今、聞いたばかりだから忘れっこない。確かに言った。

 そして、椎名もそう言った。

 言わないのは、苺花本人だけだ。

 だけどきっと、ふたりの言う事は正しいんだろうと、何となく思えてきた。

 確信とまでは行かないけれど、そうなのか。ふうん、そっか。納得、ってくらいにはわかった。


 好きと言う気持ちとは、やや違う気はするが、気にはなる。

 ほっとくと周りに迷惑がかかるのならば、俺がつかまえておかなきゃならない。

 そうだ。

 つかまえよう。

 
俺はもう一度梨々に電話をして、涼の携帯番号を教えてもらった。



★会えるかな、苺花に。

 次回に続く♪
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