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恋にとどくまで~大和と苺花(26)

大和



 苺花の両親は、話し合いの結果、苺花の意思を尊重したいんだという理由で、

苺花の行方は教えられないという結論に達したらしい。

 俺は「ごめんね」と言う両親に見送られ、苺花の家を後にした。

 携帯電話をまだ持っていない苺花に連絡するすべはない。

 けれど、苺花の行方を両親は知っている。心配はいらないよって俺に言ってくれたけれど、

やはり心配なのは否めない。

 苺花が気になる。

 これはもう、決定的だなって思った。

 体で確かめるまでもなかった。

 覚えのある感情。

 だけど、初めて感じる感情だった。

 欲しいって思ってた梨々に対する感情とは、似ているようで、微妙に違う感情だ。

恋……なんてものじゃ表現出来ない。

「これが……愛情。愛?」

 言葉に出して一層真実味が増した。

 ムカつきながらもほっとけなかった。

 その理由がなんなのかが、たった今、やっとわかったという感覚。

 俺はそこにあった電柱に向かい合う。

「苺花、好きだ」

 言ってみた。

 反応はない。電柱なんだから当たり前なんだけど、虚しかった。

「アイシテル」

 電柱を抱きしめてみたら、ひんやりとして気持ちが良かったが、

気持ち悪い行為だと気付いて、すぐに離れる。

 電柱相手に告白したってしょうがないので、俺は自分の家へ帰ろうと、歩き出した。

 電柱になら言えるけれど、いざ苺花を目の前にしたら、きっと今のようには上手く言えないだろう。

 それに、苺花が本当に俺を好きなのかどうか曖昧なのだ。

 梨々や椎名や両親からは、苺花は俺を好きらしいと聞いた。

 それが本当なら、俺が告白すれば上手くいくはずなんだけど、

すんなりと上手くいくとは思えないんだな。

「素直じゃないからなー、アイツ」

 ため息混じりに呟いて、空を見上げた。

 そこには少し欠けた月が光っていて、俺を照らしてくれている。

「苺花、好き」

 月に向かって言ってみる。

 言葉に出して言えば言うほど、気持ちが確実に固まってくる。

 余計なことを言わないで、強引にホテルに入れば良かった。

 下手だと言われてもいいから、苺花のあの大きな胸を触ってみたかった。

「何、考えてるんだー、俺はー」

 それが目当てなのか? いや、違う。そこじゃない。と自問自答する。

 自転車の後ろに苺花を乗せたとき、背中に感じたあの、ふわふわの感触。気持ちよかったんだよなー。

「だから、そこじゃないってば」

 また良くないことを考えそうになって、慌てて頭を振った。

「はあ、重症かも」

 確信した途端、一気に気持ちが溢れそうになっている。

 全力疾走した後のように、心臓が大きく鳴る。

 梨々に対する気持ちなんか、これに比べれば可愛いもんだったと思う。

梨々に対する気持ちと違って当然だったんだ。

 なんたって、「愛」なんだから。

 ひとりで納得し、いい気分で歩いた。

 とっくに終電もなくなってしまった時間。

いつもの自転車もバイト先に置いてきてしまっていたから、歩くしかないんだけれど、

家まではまだかなりの距離がある。

 タクシーに乗ろうにも、さっき2回も利用してしまったから、何となくお金がもったいないな、

何て思う。

 交差点に立って信号を待っているとき、ふいにひらめいた。

 まっすぐ行けば俺の家だけど、ここを右に曲がれば椎名のアパートだ。

 そもそもアイツがやってみろ、なんて煽るのがいけない。

 余計なアドバイスをしやがって、と椎名に責任を押し付けてやった。

「そうだ。文句言ってやろう。で、お詫びに泊めてもらおう」

 自分の家に帰るよりは、椎名のアパートのほうがここからずっと近いと気がついて、

俺は交差点の信号が点滅し始めた右に曲がる横断歩道を、走って渡った。








次回に続きます。

★夏から書いていて、冬になったのにこの場面は、まだ夏なんだよね~。夏休み前から進んでないって

誰か気付いてましたか?
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