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5番目の彼女


高校生のころ、好きなひとに告白した。

そのひとは上級生で、野球部に入ってるひとだった。

わたしはいつも、放課後の練習を見に行っていた。

応援している女の子はたくさんいたから、

私もその多くのギャラリーの一部であり、彼に気づいてもらえてるなんて

まったく思ってなかったのに。

「いつも見に来てくれてるよね、ありがとう」

そう言って、彼ははすぐに付き合おうと答えてくれた。

そして、その日は彼と一緒に帰った。

その途中、近くの女子校の制服を着た女の子が、彼を待ち伏せしていたらしく

私たちに気がつくと、すごく怖い顔で近づいてきた。

「また浮気? 今度はその子を泣かせるの?」

私は「浮気」と言う言葉にドキドキした。

その後の修羅場を想像してしまい、すぐにでも逃げ出したくなってしまった。

だけど彼は私の手をぎゅっと握ってる。

「君とはもう終わったはずだ。いつまでもいい加減つきまとわれて迷惑だし、

嘘の噂を流して俺を陥れるような真似すんの、やめてくれないかな」

彼の言葉をわたしは信じた。

彼はモテるひとだから、彼と過去に付き合っていたひとがいても、おかしくない。

そして、別れたあとも気持ちを引きずる女の子の逆恨みを受けているのも、

アリエナイ話じゃないと思った。

その女の子は、私を睨みつけるようにした。

怖くてうつむいてしまった私の頭上に、女の子の罵声が浴びせられる。

「終わったなんて嘘よ。それが彼の手口だもの。あなたも騙されちゃいけない。

私だけじゃないわ、他にも女はいっぱいいるの、あんたなんか5番目の女なんだから、

フタマタどころじゃないんだから、5番目なんだから、彼女になれたからって

いい気にならないことね」

悪いことは言わないから、彼から早いうちに手を引きなさい

と、女の子は言った。

二股どころじゃなく、5番目だから五股?

果たしてそんな言葉があるのか疑問だけれど。。。

女の子が去ったあと、彼は私の手を放した。

私の前に立つ彼の顔を見上げる。

彼は困ったような顔をして私を見ていた。

「さっきのあれ、信じる?」

私をじっと見つめる目は、私を騙しているような浮気者の目には見えなかった。

それに、たとえあの女の子の言った言葉が真実だとしても、彼は私を選んでくれた、

私の気持ちに応えてくれたのだ。

たとえそれが、5番目の彼女の座だとしても、選ばれたことは嬉しいことだった。

彼の問いかけに、すぐに私は答えた。

「ううん、信じない」

私はアナタを信じます。

そういう意味をこめて彼の手を握った。



彼が他に何人の女と付き合っていようが、どうでも良かった。

本当のことなのか、単なる噂なのか、その後も私の耳には彼の浮気疑惑が入ってきたけれど、

真実を確かめたいとは思わなかった。

彼に追求して、困らせるようなこともなかった。

友人達は、私のことを「都合のいい女」だとバカにしたけれど、

私と会うときの彼は、私がこの世で一番幸せだと実感させてくれたから、

都合のいい女でも、良かったのだ。

少なくとも私は、彼の一番だった自信がある。

それくらい、彼に大事にされた自信があった。
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