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恋にとどくまで~大和と苺花(29)

大和



椎名のアパートから少し離れた駐車場に、椎名の車は止めてある。そこへ向かいながら、

ちゃんと苺花が着いてきているのを背中で感じる。

行方がわからないはずだった苺花が、急に現れた。

見つけるのに苦労するはずだった。

そしてもし今度会ったなら、ちゃんと苺花と向き合って、自分の気持ちを伝えようと思っていた。

なのにまだ言えないでいる。

あんまり突然だったから、心の準備が出来ていなかった。と言うより、

混乱してしまったといったほうが今の気持ちにしっくり来るかもしれない。

何から切り出せばいいのだろうか。

『あのさー、好きなんだ』

なんて、いきなり言ったら笑われるよな。それか怒り出すかもしれない。

『は? 何言ってんのよ。バカじゃない? 思いつきで言わないでよね。

あ、そか。やりたいから好きなんだとか理由付けしたいんでしょー』

 ……ね。たぶんこんな展開なのさ。

「大和ー。どこまで行くのよー」

 ため息とともに苺花が漏らす。

「椎名くんの中古の軽はどこよー」

「ああ。もうすぐ。そこの角を曲がったとこにあるから」

「遠いよねー。何でアパートに駐車場がないの?」

 聞かれたって、俺が知るわけがない。椎名に聞いたこともないんだから。

「中古の軽なんだからさー、その辺に路上駐車でもしておけばいいのにねー」

 苺花は中古の軽、中古の軽ってうるさい。

 きっと中古の軽をバカにしてるんだろう。

 俺が新車にこだわるのは、そうやって苺花にバカにされたくないためのプライドなんだ。

中古の軽自動車を買ったら、きっと座り心地が悪いとか、自転車よりはマシだけど、

とか、そんな風に言うに決まってる。

苺花の毒舌は、聞く前からわかってるんだ。

 なのに、なんで好きなんだろう。

 待てよ。本当に俺、間違ってないか?

 本当に苺花が好きなのか?

 自分の気持ちに多少の自信をなくしそうになった瞬間、苺花が後ろから急に腕を組んできた。

「うわあっ」

 不意打ちだったから、大声をあげてしまう。

「何よ。そんなに嫌?」

 口を尖らせて上目遣いで苺花が見上げてくる。

 少し視線を下に落とすと、胸元から見える胸の谷……。

「どこ見てるのっ!」

「どこも、見てねーよっ」

 気付かれて慌てて目をそらす。

 腕を組まれただけでもドキドキするのに、さらに見上げてきた目にも惑わされた。

その上、あの胸。

 好きの動機が、ちょっとだけ不純な気がしてきた。

「どれが椎名くんの車?」

 駐車場の入口に着いた。

「ああ、あれ。白のそれ」

 手前から二台目の車を指で指して教えた。

「ふーん。どこにでもあるような軽ね。ふーん」

 やっぱりバカにしたニュアンスを感じる。

 車の鍵を出して、助手席側の鍵を開ける。

「自動じゃないのね。ほら、少し離れたところからピッて押したら鍵が開くヤツ」

 文句を言いつつ、苺花がシートに座った。

「安いって言ってたもんね、椎名くん。ちゃんと走るよね。途中で止まったりしないよね」

 どこまでも失礼な発言をする苺花。

 このまま告白なんかせず、さっさと家まで送り届けてやろうかと思った。

 考えがまとまらないまま、運転席に座りエンジンをかける。

「大和、事故らないでよ。一緒に心中したくないからね」

 シートベルトをきつくつかんで俺に言う苺花を、じっと見た。

「何よ、そんなに見つめないでよ」

 バカ。と苺花は暴言を吐くと、体ごと窓のほうを向いてしまった。

 告白。

 どうしよう。

 決心が鈍りそうになる。





★続く(。≧艸≦。)ブッ ワラエル
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