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【26】もうやめる!!

それからしばらくは、平穏な日々が続いた。

などと言いたいところだけれど、平穏とは程遠い日々になりそうだ。

透弥と仲直りできたと思った夜、理花の携帯に樹からメールが入ったのだ。

当然、横に寝ていた透弥も気づいた。

『昨日はごめん、二日酔いになってないか?』

樹の書いたメール文は透弥に見られてしまい、昨日のことを追及された。

「昨日も樹と会ってたって、どうして俺に言わなかったんだ」

疚しいことがあるからだよね、と責められた。

特に内緒にしたかったわけではない。

言えるような雰囲気でもなかったし、言う機会を逃していたというのが

一番近い理由であると思う。

結局、涼と飲みに行ったところから、全部詳細にしゃべる羽目になってしまった。

「誤解って理花は言ったけど、樹の気持ちは誤解だけでもなさそうだね」

夜中の3時頃まで、透弥に責められた。

「樹も、俺と功至に何でもない、誤解だって言ってたけど、あれも

全部嘘だったわけだよね。口先だけで俺たちを誤魔化そうとして、ひどいと思わない?」

理花は答えなかった。答えたくなかった。

もともと、透弥が自分から動かずに理花のことをほったらかしたのがいけないんじゃないか。

樹はちゃんと、理花と透弥を応援してくれてた。

だけど、透弥がはっきりしなかったから、樹は諦めたくなくなっただけで、

誤解を解こうとしたときは、素直にそうしたいと一生懸命だったはずだ。

こんな気持ちになってまで、透弥と続ける意味があるのかどか、疑問で頭がいっぱいになる。

「会社のヤツと飲みに行くのも、俺のこと軽く見てるとしか思えないんだけど」

「もう嫌だ……」

「え?」

「もうやめる!」

理花は立ち上がって、座ったまま理花を見上げている透弥に言い放った。

「うるさいのよ、もう。干渉しすぎなのよ。何でもないって言ってるのに、

信じないでどんどん責めてきて。いい加減にしてよ。あんただって、わたしのこと

ほったらかしてたじゃない?」

「……ほったらかしは、お互いさまだったと思うけどね」

透弥は理花から目をそらすと、テーブルの上に置いていた車の鍵と携帯を手に取った。

「なんか面倒になってきた」

立ち上がり、ため息をついた透弥は、そのまま玄関へと歩いて行く。

「何よ。面倒だから逃げるの?」

その背中に理花は叫んだ。

「理花が冷静じゃないから、話にならない」

「そうさせてるのは、誰よ!」

「俺のせいにばっか、しないでね」

振り向かないまま透弥は言って、ドアを開けて行ってしまった。

追いかける?

嫌だ。

追いかけない、私は悪くない。

理花は閉じた玄関のドアをじっと見つめたまま、その場に座りこんでしまった。

「面倒って言わないでよ。面倒なのは、こっちのほうだよ」

追いかけられたら逃げたくなることもある。

それは今までも経験してきたことだから、理花にも良くわかっていた気持ちだ。

でも、逃げられたら追いかけたくなる。

そんな気持ちになったのは、初めてだった。

これはどういう心理だろう。

さっき透弥に問い詰められて、責められ続けていた間、ずっと疑問に思ってたのではないか。

付き合っていく意味とか、干渉しすぎだとか、信じてくれないだとか、

うるさいって思っていたはずだ。

だから、いなくなってホッとしたっていいはずなのに、後悔しているのは、いったい何なのか。

「プライド……だよ、きっと」

フラれた経験がない理花は、初めてフラれたことにプライドが傷ついているだけだと思った。

それだけのはずだった。



続くのです。

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