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恋にとどくまで~苺花と大和(31)

苺花



一瞬、逃げようと思ったが、どう考えてもそれでは終わりだ。

私を放置して、車で去ってゆくこともできるのに、ちゃんと降りてきて

向き合ってくれようとしているのだ。これ以上困らせたら、もうたぶん追いかけてくれない。

いくら大和でも、本気で嫌になるに決まっている。

「バカすぎ!!」

いきなり怒鳴りつけられた。

ただのバカじゃない、バカすぎ?

「何よ」

口を尖らせて大和を見上げた。

「何よじゃねーよ。バカだからバカって言ってんだ。いい加減にしろよ苺花。何がじゃあね、だよ。

おまえさ、ほっとくとまた他の男について行くんだろ。やめろよそういうの。他人に迷惑かけるなよ」

「ええー、迷惑なわけないじゃん。男は喜ぶ……」

「他の男、喜ばさなくていいんだよっ! ったくムカツク女だな。何でこんなヤツ好きなのか、

自分で自分がわかんねーよ。さっぱりわかんねー。もう理解不能どころじゃねーよ」

「ムカツク女なら、ほっとけばいいのよ。わかんないなら、理解……あれ?」

何だか、大和の言葉に引っかかるものを感じたんだけど、何だろう。

「ほっとけばいいんだよな。わかってるんだ。けどさ、好きなんだ苺花」

「……大和?」

大和の口から、今はっきり聞こえた「好き」は、私に向けられたもの?

確かに言ったよね。確かに聞こえた。

頭の中が真っ白だ。

「どこにも行くな。俺のそばにいろ。俺が……苺花に一生振り回されてやるよ。他人に迷惑かけるより、

そのほうがマシなんだ。俺が犠牲になる。なってやるから、俺と付き合え!」

怒りながら、ケンカを売られているのと勘違いしそうなくらいの荒っぽさで、確かに

大和は私に告白しているようだ。

立っているのがツライくらいに頭がクラクラしている。

「私、梨々じゃないよ」

「わかってるよ。いつの話してるんだ。梨々のことはもうとっくに過去のことなんだからさ」

大和が言いながら、私に向かって手を伸ばしてきた。

抱きしめられる、と思ったと同時に、私は大和の腕の中にいた。

「返事は……?」

「だ……だって。信じられない。いいの?」

「いいから告ってんだろ」

「気の迷いじゃないの?」

「迷ってたけど、確信したから」

「決心、揺らがない?」

「何度も揺れたけど、もう平気。大丈夫」

「やめるなら今のうちだよ、大和」

何度も何度も確認した。

大和は、何度も何度もうなずいてくれた。

「やめない。それとも、苺花は迷惑なのか? 俺のこと、好きじゃない? 俺の勘違いなのか?」

今度は大和のほうが、何度も確認してきた。

「迷惑じゃないよ」

信じられないけれど……。

「大和が……好き」

恥ずかしいけど、やっと言えた。

顔をあげたら、余計なことを言ってしまいそうになるので、大和の胸に顔を埋めたまま、

腕を大和の背中に回して、ぎゅっときつく、すがりつくように抱きしめていた。

「勘違いじゃない。大和が大好き。大好きなの。ずっとずっと……好きっ」

好きだったんだよーって言いながら、私は我慢できなくなって泣いてしまった。

「うん。ありがとう。ずっと、好きでいてくれたのに、気付かなくてごめんっ……」

大和が私の髪を撫でながら、私につられたのか、涙声になった。

大和はずっと梨々しか見ていなかったんだから、私の気持ちに気付かなくて当然なのだ。

それに、気がつかれないような態度をとってきた。

ごめん、なんて謝る必要はないと思ったけれど、それは言葉にならなかった。

今になれば、もうどうだっていい。

過去のことはどうだっていい。

「あの、さ、苺花」

大和が私の身体を離そうとした。

私は放されないように、さらにキツくしがみつく。

「苺花、ちょっと離れて」

「嫌! 離れたくない」

「や、それはそうでも、ちょっ……」

「嫌嫌!」

せっかく抱きしめてもらえたのに。

ずっとこうしていたいのに、大和はどうして離れたいの?

私が好きな気持ちより、大和の好きは小さいの?

「大和が好き」

「……うん、俺も好き。好きだけど、ちょっと」

「何よ。何なのよ!」

はっきり言わない大和に、少しだけイラついて顔を上げる。

「私、嬉しいんだから。大和とこうなれたこと。なのに、大和はそれほどでもなさそうなのが嫌」

「いや、そうじゃなくて。あの、車に戻らないか?」

「車?」

はっと我に返る。

表通りではないから、走る車も歩くひともそう多くはないながら、やはり人目が

皆無というわけではない。

そんなことに、やっと気がついた。

「ここじゃ、何か落ち着かなくね?」

「それを早くいいなさいよ」

もう! と怒りつつ、私は先に車に戻った。

大和のほうが、私より冷静なのが気にいらない。

私としたことが、周りの状況さえ気にならないくらい、舞い上がっていたのが、かなり照れ臭かった。





次回、大和編。「恋にとどいてしまった大和のその後」を書きます。(予定ですが未定です)
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