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約束…逢いに行くよ

高校二年の夏休み。

僕は親戚のおじさんが働いているガソリンスタンドで、アルバイトをしていた。

暑い夏。

照りつける太陽と、午後になって上昇する気温。

ただでさえ暑いのに、車から発する熱も重なってクラクラする。

その日は特に暑くて忙しくて、ろくに休む暇も、水分を補給する余裕もなく

動き回っていた。

車を見送ってくるりと方向転換した瞬間に、目の前がゆらりと揺れた。

誰かの叫ぶ声がする。体を誰かが触っている。ふわりと浮ぶ体。

そしてすぐにどこかへ寝かされたのがわかった。

遠のく意識の向こう側、同じクラスだった佐代ちゃんの姿が見えた。

「清二くん。大丈夫?」

呼ばれてうっすら目を開けると、心配そうに僕を見下ろす佐代ちゃんの顔。

額に当てられた佐代ちゃんの手は、ひんやりとして気持ちがよかった。

心地良くて、何だかホッとした。

「ゆっくり休んでて」

言われて、僕にしかわからないくらい小さくうなずくと、再びそっと目を閉じた。

夏休みだから、佐代ちゃんが遊びに来てくれたんだろうか。

だけど、佐代ちゃんに僕がここでアルバイトをしていることは秘密だったはず。

佐代ちゃんが大好きなクマのキャラクターがある。その特大のぬいぐるみを

僕は誕生日にプレゼントしたいと思ってた。

そのためにアルバイトをしているのだ。

佐代ちゃんの誕生日は来月だ。

それに間に合うように。

そして秋の連休に、遠くに引っ越してしまった佐代ちゃんに会いに行くために

お金を貯めたかったんだ。




高校一年のクリスマスに、僕は佐代ちゃんと付き合った。

ずっと大好きで、ずっと見つめていた佐代ちゃんは、

奇跡的にも僕の告白にうなずいてくれた。

ずっと僕の視線を感じていて、いつの間にか意識してくれて、そして好きになって

いたんだと、頬を赤く染めながら佐代ちゃんは言ってくれた。

楽しいクリスマス。楽しい冬休み。そしてバレンタインには大きな手作りの

チョコもプレゼントしてくれた。

そして、春になったらふたりで旅行しようね、と約束していた。

だけど3学期の終了と同時に、佐代ちゃんの父親の転勤が決まり、佐夜ちゃん一家は

僕の元から遠く離れて行ってしまった。

佐代ちゃんの乗った列車を、僕は見えなくなるまでずっと見送った。

そして、見えなくなった後もずっと、そこを動けなくなっていた。

「また会おうね」

最後に手を振りながら言ってくれた佐代ちゃんに、僕も「きっと、絶対だよ」と約束した。

だから僕は、ここでアルバイトを始めたんだ。

こんなところで、くたばってる場合じゃない。

ぱっと目を開けると、そこは見慣れたスタンドの休憩室で、さっきまでそこに

いたはずの佐代ちゃんの姿はなかった。

体を起こした僕のひざに、濡れたタオルが落ちた。

手に取ってみると、佐代ちゃんがテニス部の部活のときに愛用していたタオルだった。

佐代ちゃんが好きなクマの絵がついているのが証拠だ。

しかもちゃんと【SAYO】と名前も書いてある。

間違いなく佐代ちゃんはここにいた。

たぶん……。

だけど姿もないし、後でおじさんに聞いても、そんな女の子はいなかったと言った。

そして、タオルはスタンドの青い普通のタオルを、おじさんが僕の額に乗せたはずだとも……。



不思議なことだけど、僕は佐代ちゃんが遠くから助けてくれたんだと信じた。

頑張って元気になって、バイトしてお金を貯めて会いにきて。

そう励ましてくれたんだと思った。



あの日、佐代ちゃんを乗せたのと同じ列車に乗って、僕は君に会いに行く。

絶対に、会いに行く。

そう再び決心すると、さっきまで辛かった体に元気が戻ってきた。

佐代ちゃんに会える日を夢見て、僕は元気良く立ち上がった。








ファンのかたより、リクエストいただいた小説【第一弾】です♪

こんなんでいかがでしょ~?

主役はアナタです。高校生になっちゃったけど(>▽<)

感想たくさんお待ちしてます。

近々【第二弾】公開予定~。みなさんリクエストありがとうございます。
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