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【2】つまんない男

「楽しくないの?」

理花は透弥に聞いた。

「……ん」

透弥が答えた今日初めてのコトバがこれだ。

そしてそれきり会話が途絶えた。

余ってるわけがわかった。

つまんない男。

「理花ちゃん」

隣に暁登が移動してきた。透弥を押しのけるようにして間に割り込む。

「今日はさー、紗夜にどうしてもって言われてこういう場を計画したんだー。

那絵ちゃんのためにって言うからさー。オレ、樹のことあんま知らねーんだけど、

頼みこんで来てもらったんだ。けど、来て良かったな。理花ちゃんみたいな綺麗な子と知り合えた」

暁登はすでに酔っているらしく、理花を口説きにかかってきた。

「紗夜とはさー、サークルが一緒ってだけで、特別何にもないんだぜ」

聞いてもいないことを暁登は勝手に教えてくれるけれど、正直言って興味がなかった。

「それでさー、あの透弥っているじゃん?」

ちらっと暁登が透弥に目を向ける。

暁登に追い出された透弥は、今、紗夜のとなりでつまんなそうに飲んでいる。

「あいつは樹が連れてきたんだ。透弥のこともあんまり知らねんだけどさ、オレの

親友で功至(こうし)ってヤツがいてさ、功至と透弥は仲がいいんだ。功至をホントは

誘うつもりだったんだけど、嫌だって断られて」

どうでもいい話を延々と横でしやべられて辟易していた。

だんだんうっとおしくなってきたので、理花はトイレに行くと言って席を立った。



「はあ……良くしゃべる男」

暁登って男は、透弥とは対照的だ。

2人を足して2で割れば、普通の男になりそう。

顔も……だよね。

顔もたして2で割ったら、普通かな。

理花はトイレの鏡の前で、髪をとかした。

居酒屋は嫌いだ。

タバコの臭いが髪に染み付くし、酔いにまかせたような変な口説きにかかる男が多すぎる。

このまま帰ってしまおうか、と考えていると、紗夜が入ってきた。

「ねえ、暁登に口説かれてるんでしょ」

横に並んで、鏡越しに話しかけられる。

「さあね、そんなんじゃないと思うけど」

鏡の中の紗夜と、目を合わせないようにしてさらりと流す。

「暁登もやっぱり理花に行くのかー」

「やっぱりって何よ」

「私、暁登狙ってるから」

チラッと見ると、紗夜が理花を睨んでいる。

「何を言われても、応じないでよね」

いい? 分かった? と、念を押すように言われる。

「理花には透弥くんを連れて来てるでしょ。カッコイイでしょ。ほとんどしゃべらないし、

無愛想だけどさ、カッコイイからいいでしょ」

「……いいでしょって……」

「つまんない?」

紗夜がふふっと笑った。

理花の反応を伺うような目だ。

「別に」

ふんっとそらすと、紗夜はちょっとムカついたような素振りを見せて、トイレを出て行った。

「こっちのほうが怒りたい気分だよ」

ため息をつきながら、理花もトイレを出た。

「うわっ!」

瞬間、誰かにぶつかった。



まだ続く♡

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