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涙色のワイン

ひとりの時間

ワイングラスに口をつけた

あなたと過ごした楽しかった日々を思いながら

グラスの中で揺れるワインをじっと見つめた

軽く揺らすとワインも揺れる

揺れるワインをのぞきこむと

赤いワインが

落ちた涙の雫ではねた

透明のそれは

ワインの赤に飲み込まれて消えた


私の体からあふれた液体は

ワインごと再び私の体に飲み込まれて染み込んだ


空になったグラスに目を落としたら

グラスの底がロゼワインの色に変わった


赤でも白でもない中間色

はっきりしない

私たちの今を象徴しているようで

悲しかった
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甘い時間

2月14日。

いくら鈍感な男でも、今日待ち合わせの約束をする意味とか理由は

きっとわかっているはずだと思ってる。


友達のままでも、じゅうぶん楽しいけれど、友達のままじゃ物足りなくなってきた私の気持ち。

いつもいつも会うたびに、友達以上の気持ちを痛いくらい感じて切なくなっていたから、


バレンタインに力を借りて、私は今日彼と友達関係を壊すことに決めた。

彼の好きなチョコレート、特にガトーショコラに目がないのはすでにリサーチ済みだから、

何度も練習をして、おいしく作れるようになった手作りのケーキを

かわいくラッピングしてドキドキしながら待ち合わせ場所に急いだ。


彼の愛車が見えた瞬間、さらに胸がドキドキを増した。

近くまで行くと彼が気づいて車から降りてくる。


「寒いね」

「だね」

短く言葉を交わし、2人で車に乗り込んだ。

「どこ行こうか、軽く走るか」

彼は私に聞いてるのかひとりごとなのかわからないことをつぶやき、

私の言葉は待たずに車を発車させた。


見慣れた外の景色がどんどん窓の外を流れてゆく。

私はいつものように、それを何となくながめる余裕はなかった。


どんなタイミングでケーキを渡そうか、どんな反応が返ってくるのか、

頭の中はそれでいっぱいだった。

いつもは普通におしゃべりする彼も、今日は黙って車を走らせているだけだ。





仕事の後で待ち合わせたから、車をとめた公園の駐車場はもう静かで薄暗かった。


「間接的に…」

彼が先に何か言いかけて、そのまま視線を足元に落とす。

間接的に、何?

聞くより先に彼は言葉を続けた。

「気づいてるよね、女の子わかるよね」

回りくどい言い方も間接的の意味も、彼の言いたいことはわかってしまう。

「…うん」

だからこそ、私は決めたのだから。

「私、今日…」

「さっきからいい匂いする、それ」

彼の視線が私の抱えている紙袋に移った。

「好きでしょ?」

ガトーショコラが。

「うん、好きだよ」

彼の手が紙袋に伸ばされた。

「ずっと好きだよ、チョコレートはその次に…好き」

紙袋をすり抜け、私の手が彼の手のひらに包まれた。

ドキドキした。

目が合わせられない。

「バレンタインはね、外国では男から告白っていうの、あるらしいよ」

「う、うん…」

「日本人は女の子に告白されるの待つ、みたいなしきたり的なもの、草食男子の増加の一因じゃね?」

「…そこまで考えてなかったけどさ」

まぁ、そりゃ告白するより告われたいのが本音だし、私としても嬉しい。

「外国的バレンタインでいこうかな」

彼の言葉に無言で頷いた。

「俺の、彼女になってください、OKならそのチョコください」





迷わず私は彼にチョコケーキを渡したわけだけど、もしNOならどうしたんだろう。


時々、そんなどうでもいいことを考えてしまうのは、きっと先のお話。


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