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永遠に僕だけのもの

去年の夏、キミが倒れた。
暑い中、ずっと外にいたせいの日射病。
『助けて』
のメールにかけつけたとき、玄関先で倒れたキミを介抱したのは確かに僕だった。

どこかへ連れて行って欲しい。
そう言われて車を出したときも、助手席のキミは確かに楽しそうにずっと笑顔だった。

だけどキミが好きになったのは、僕じゃない誰かだった。

キミに恋していた僕は、キミの恋の話をいつも聞かされるようになった。
楽しいときもマメにメールで教えてくれたし、彼とケンカしたときは、朝までヤケ酒に付き合ったこともあった。

キミが幸せならそれでいいと、キミの恋を見守っていた。
応援するのはさすがに無理だったけれど、表向きはたぶん、いい相談役になれていたと思う。

そして夏が終わるころキミの恋は終わった。
連絡がなくなり、だんだん自然消滅をした恋だったようで、キミは最近まで彼をひきずっていた。

そして秋が過ぎ、冬になって春になる。
キミと初めて出会ったのも確か春だった。

春に出会って、夏に楽しくすごして、夏は僕にとっていい思い出がたくさんある季節。

だけどその夏、キミはまた違うひとに恋をした。
いつもそばにいるのは僕なのに、僕を通り越していつも違う男に惹かれるキミ。
友達としてはいいけれど、恋人になれない基準があるとしたら、年の差だってキミは軽く笑った。

僕とキミは8つ離れている。
キミが年上
僕が年下

この差だけが理由ならば、キミが誕生日を迎えなければいいんだ。
そう気がついた。
そしてキミを誰の目にも触れさせずそばに置いて、ずっと大事に守り続けたい。

その夜
僕は考えを行動に移した。

僕が何を考えているかなんてキミが知るはずがない。
キミはいつものように、笑顔で僕を部屋の中に入れてくれた。
キミは僕が持ってきたパインのゼリーを美味しそうに食べたね。
それに毒が入っていることを知りもしないで。

キミはもう来年の誕生日は迎えられない。
僕だけのものになった。
ずっと……ずっとずっとずっと。
僕のそばで眠り続ける、
キレイな人形になったのだ。

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お見舞い

あなたが病気で入院したとき、駅前のお花屋さんで、
フラワーアレンジメントやお菓子を買ってお見舞いに行った。
久しぶりに会うあなたは、思ったより元気そうだったけれど 、
見えないところで、ひどく傷ついているんだろうと思ったら悲しかった。

フラワーアレンジメントを渡したときに伸ばした腕に
刺さっていた、点滴の針が痛々しかった。

動くたびにその管から逆流する血液。
赤い血。

一瞬、舐めてみたい衝動にかられたけれど、
悟られないように何とか隠した。

あなたのトナリに座って、そんなことを想像しながら、
どうでもいいような世間話をしていた。
だけどわたしは、話をするよりも気になることがあった。
話をしながら、あなたの顔と腕に刺さった針と交互に見ていた。
下手な看護師が刺したのだろうか。
針が刺さった部分には、少しだけ血が洩れたようになっていた。
わたしはまた衝動にかられた。
刺さっている針を引き抜きたい。そうして再び、血管に刺してみたい。
刺す瞬間、血管に刺さる瞬間の感触を味わいたい。
だけどそばには消毒用のガーゼもないし、針を固定するためのテープもない。
余計なことをして、病院にもあなたにも迷惑はかけられない。
残念だけど、キケンなことをするのはやめよう。考えるだけにしよう。

ふいに会話が途切れ、あなたの顔をじっと見つめた。
じっと見つめていたのは、キスが欲しかったんじゃないのに、
あなたはわたしの心の中を誤解して、わたしの唇に触れてきた。
ベッドに押し倒されながら私は、また別のことを考えていた。
腕から伸びる点滴の管で、あなたの両手を拘束してみたいな……って。
きっと針が曲がって血液がいっぱい洩れる。
苦痛に歪むかもしれない、あなたの顔を想像していたら
何だか気持ちが良くなってきた。。

恋する勇気

好きで好きで、大好きでたまらなくなって、
抑えきれなくなって、決心して頑張って勇気を振り絞って告白したとき、
「ボクじゃキミを幸せにできないと思う、自信がない」
そう言って受け入れてくれなかったから、好きだと言ってくれるひとを選んだのに。
ダメになってひとりになって、やっと立ち直って、強くなろうって、これからって言うときに、告白してくる彼……。

何をいまさら考えているんだろう。
もう、男の人に甘えないって決めたのに、ひとりで強く生きてくって決めたのに、
彼に甘えたくなってしまいそうになる。また弱い私に逆戻りしてしまいそうになる。

一生守るとか、幸せにするなんて言葉は嬉しくないわけじゃないけれど、一度失敗している私は、すぐには信じられない。
結婚は、いい事ばかりじゃないってわかってると彼は言ったけれど、一度も結婚したことのない彼には、何となくわかってるつもりなだけだと思う。
困難も二人で乗り越えようって言ったって、困難にぶつかったとき、逃げないで対処していけるのだろうか。

そんなことを考えて考えて、考えすぎてしまうから。
壊れることばかり考えてしまうから。
本当はあなたに飛び込みたいのに、飛び込む勇気がなかなか持てないんだろう。

欲しくないプレゼント

「好きなの選べよ」

笑顔で彼に促された私は、高級そうなジュエリーショップの

ショーケースの中で光る、たくさんの指輪を眺めた。

彼と付き合い始めて以来、たくさんのプレゼントを貰っている。

誕生日やクリスマスでもない、記念日でなくても普通にプレゼントを

してくれる彼のことを、最初は優しいいいひとだと思ってた。

けれど、つきあって行くうちにだんだんそうじゃないことがわかってきた。


悪く言いたくないけれど、かなり浪費家なのだ。

このまえ、彼の部屋で見つけた携帯電話会社からの

督促状とカードローンの請求書。

こんな高級指輪を買ってくれようとする気持ちは嬉しいけれど、

お金を使う順番が違うと思う。

払うべきものはちゃんと払わなきゃいけない。

払えないなら、買ってはいけないのだ。

「迷ってるの?」

なかなか決めない私の顔を覗き込んで彼は言った。

「じゃあこれにしろよ」

彼の指差した先で、きれいなプラチナリングがきらりと光る。

「え、でも高いよ。こんな高いのもらったら悪いよ」

「いいっていいって」

私が断るのも無視して、彼は指輪を買ってしまった。

そう。カードで…


本当は私、ずっと欲しい指輪があったんだ。

ガラスのショーケースにも入っていない、お気に入りの雑貨屋で

見つけた1200円の値札がついた指輪。

プラチナでもなく、ダイヤモンドでもない。

その銀色の輪についたピンクのガラス玉がとても可愛くて、

とても欲しかったけれど、私にとって1200円は買うのに迷うほどの金額だった。


彼とは価値観が違う。

特に経済観念が、まったく反対なのだ。

最初は小さな「あれ?」だったけれど、それはだんだん

積み重なって大きな溝を作った。

彼は私と結婚したいと言ってくれるけれど、

私は彼と結婚する気はなかった。

たくさんのプレゼントをもらっても、そこに彼の誠意が感じられない。

欲しいのは「物」ではなかった。

それがわからない彼とは、結婚したって上手くいくはずがないと思う。

だけど、あんなにたくさんプレゼントをくれたのだ。

だから私も彼に、お返しをしたいと思っている。


たぶんもうすぐ、私は彼にプレゼントを贈るだろう。

お金がかからない最後のプレゼント。



「さようなら」の言葉を。

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