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【27】巻き添えの代償

翌日のウエディングショーは、ハイテンションでやれた。

何もかもを振り切るかのように、ヤケクソでやったようなものだ。

だから、ショーが終わったあとは、一気に脱力してしまい、ぐったりしてしまった。

「大丈夫か? 昨日、遅くまで起きてたんじゃないか?」

昨日、透弥と一緒に帰ったところを中原に見られている。

きっと、遅くまでエッチしてたとか思われているんだろうけれど、そんな理由ではない。

「今日は早く寝たほうがいいよ」

一緒に駐車場まで歩いた。

昨日のことがあるから、今日も透弥が来ていると思われてたようだけど、いるわけがない。

だから今日は、中原に送ってもらおうと思っていたが。

「あ……」

功至がいた。

きっと、昨日のことを透弥が功至に言いつけたんだ。

功至は、理花に気づくと怒ったような顔をして近づいてきた。

「おまえ、透弥に何した?」

何って、透弥から全部聞いたんじゃないの?

「功至くんって透弥くんの保護者? 何で何かあるたびにいちいち出てくるのよ」

いつもならひるむところだけれど、今日の理花は不機嫌だ。

しかも最悪に不機嫌だ。売られたケンカを買ってやってもいい気分だ。

「おいおい、こんなところでケンカするなよ」

中原が功至と理花の間に入った。

「なんだおまえ」

功至は怪訝そうに中原を睨んでいる。

「功至くんに関係ないでしょ!」

理花は中原の腕をつかんだ。

「行きましょう、早く」

「ふざけんなよ。おまえ、こいつとも浮気してるのか?」

「は?」

中原が驚いてる。

「そうよ。悪い?」

中原まで巻き添えにしてしまったことを、理花はこの後、すぐに後悔することになる。

あっと思う間もなく、功至が中原を殴りつけたのだ。

「嫌! やめてよ」

倒れた中原は、功至の下敷き。

馬乗りになられて、もう一回殴られてしまった。

「違うの、功至くん。やめて、殴らないで!」

いきなり殴られて、不意を突かれた中原は、抵抗する余裕もなく殴られている。

止めに入っても、功至は聞く耳持たないって感じだ。

理花は携帯を取り出し、電話をかけた。

「もしもしっ! 樹くん、助けて!」

後になって思ったが、どうして樹に助けを求めたのか。

けれど実際、樹がすぐに駆けつけてくれて、その場はおさまったのだ。

ただ、中原は無事ではいられなかった。

「全治、3ヶ月だった」

病院で治療を受けたあと、中原は不機嫌そうに言った。

殴られて顔は腫れ上がっている。

肩から腕骨にかけて、骨にヒビが入っていたそうだ。

しかも、腕は骨折していた。

「すみません」

理花は頭を下げて謝った。

謝って許してもらえるかどうか、わからないけれどひたすら謝った。

下手をしたら、仕事をクビになるかもしれない。

「もういいよ。事情はわかった。至急、新郎役の代理を探してくれないかな」

中原は、チラッと理花の横にいる樹に目を向けた。

「ああ、そうだ。バイト代出すから、君、やってみない?」

「えええ! おれ?」

樹が驚いている。

実際、責任を取って代理をするなら、功至のほうだろう。

けれど、功至は病院まで着いてきたものの、中原に謝ってそのまま帰ってしまって、ここにはいない。

「君しかいないだろう。涼は他の仕事があるし、高浜さんの彼氏はケンカ中で無理そうだし

モデルよりはるかに落ちるけれど、この際しょうがない。身長が足りない分は、

高い靴でカバーできるとして。顔はメイクで少し作れば何とかなるだろう」

と、中原は樹に対して失礼なことを言った。

それほどまでに、ショーに穴を開けることは出来ないのだ。

しかも明日はショーの最終日。絶対やり遂げなければいけないだろう。

そして、明日は事務所に寄らなくていいから、直接ふたりで教会に行きなさいといわれた。


***********


続く。


なんか文章が流れてない気分。。。不調かも。
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【26】もうやめる!!

それからしばらくは、平穏な日々が続いた。

などと言いたいところだけれど、平穏とは程遠い日々になりそうだ。

透弥と仲直りできたと思った夜、理花の携帯に樹からメールが入ったのだ。

当然、横に寝ていた透弥も気づいた。

『昨日はごめん、二日酔いになってないか?』

樹の書いたメール文は透弥に見られてしまい、昨日のことを追及された。

「昨日も樹と会ってたって、どうして俺に言わなかったんだ」

疚しいことがあるからだよね、と責められた。

特に内緒にしたかったわけではない。

言えるような雰囲気でもなかったし、言う機会を逃していたというのが

一番近い理由であると思う。

結局、涼と飲みに行ったところから、全部詳細にしゃべる羽目になってしまった。

「誤解って理花は言ったけど、樹の気持ちは誤解だけでもなさそうだね」

夜中の3時頃まで、透弥に責められた。

「樹も、俺と功至に何でもない、誤解だって言ってたけど、あれも

全部嘘だったわけだよね。口先だけで俺たちを誤魔化そうとして、ひどいと思わない?」

理花は答えなかった。答えたくなかった。

もともと、透弥が自分から動かずに理花のことをほったらかしたのがいけないんじゃないか。

樹はちゃんと、理花と透弥を応援してくれてた。

だけど、透弥がはっきりしなかったから、樹は諦めたくなくなっただけで、

誤解を解こうとしたときは、素直にそうしたいと一生懸命だったはずだ。

こんな気持ちになってまで、透弥と続ける意味があるのかどか、疑問で頭がいっぱいになる。

「会社のヤツと飲みに行くのも、俺のこと軽く見てるとしか思えないんだけど」

「もう嫌だ……」

「え?」

「もうやめる!」

理花は立ち上がって、座ったまま理花を見上げている透弥に言い放った。

「うるさいのよ、もう。干渉しすぎなのよ。何でもないって言ってるのに、

信じないでどんどん責めてきて。いい加減にしてよ。あんただって、わたしのこと

ほったらかしてたじゃない?」

「……ほったらかしは、お互いさまだったと思うけどね」

透弥は理花から目をそらすと、テーブルの上に置いていた車の鍵と携帯を手に取った。

「なんか面倒になってきた」

立ち上がり、ため息をついた透弥は、そのまま玄関へと歩いて行く。

「何よ。面倒だから逃げるの?」

その背中に理花は叫んだ。

「理花が冷静じゃないから、話にならない」

「そうさせてるのは、誰よ!」

「俺のせいにばっか、しないでね」

振り向かないまま透弥は言って、ドアを開けて行ってしまった。

追いかける?

嫌だ。

追いかけない、私は悪くない。

理花は閉じた玄関のドアをじっと見つめたまま、その場に座りこんでしまった。

「面倒って言わないでよ。面倒なのは、こっちのほうだよ」

追いかけられたら逃げたくなることもある。

それは今までも経験してきたことだから、理花にも良くわかっていた気持ちだ。

でも、逃げられたら追いかけたくなる。

そんな気持ちになったのは、初めてだった。

これはどういう心理だろう。

さっき透弥に問い詰められて、責められ続けていた間、ずっと疑問に思ってたのではないか。

付き合っていく意味とか、干渉しすぎだとか、信じてくれないだとか、

うるさいって思っていたはずだ。

だから、いなくなってホッとしたっていいはずなのに、後悔しているのは、いったい何なのか。

「プライド……だよ、きっと」

フラれた経験がない理花は、初めてフラれたことにプライドが傷ついているだけだと思った。

それだけのはずだった。



続くのです。

5番目の彼女


高校生のころ、好きなひとに告白した。

そのひとは上級生で、野球部に入ってるひとだった。

わたしはいつも、放課後の練習を見に行っていた。

応援している女の子はたくさんいたから、

私もその多くのギャラリーの一部であり、彼に気づいてもらえてるなんて

まったく思ってなかったのに。

「いつも見に来てくれてるよね、ありがとう」

そう言って、彼ははすぐに付き合おうと答えてくれた。

そして、その日は彼と一緒に帰った。

その途中、近くの女子校の制服を着た女の子が、彼を待ち伏せしていたらしく

私たちに気がつくと、すごく怖い顔で近づいてきた。

「また浮気? 今度はその子を泣かせるの?」

私は「浮気」と言う言葉にドキドキした。

その後の修羅場を想像してしまい、すぐにでも逃げ出したくなってしまった。

だけど彼は私の手をぎゅっと握ってる。

「君とはもう終わったはずだ。いつまでもいい加減つきまとわれて迷惑だし、

嘘の噂を流して俺を陥れるような真似すんの、やめてくれないかな」

彼の言葉をわたしは信じた。

彼はモテるひとだから、彼と過去に付き合っていたひとがいても、おかしくない。

そして、別れたあとも気持ちを引きずる女の子の逆恨みを受けているのも、

アリエナイ話じゃないと思った。

その女の子は、私を睨みつけるようにした。

怖くてうつむいてしまった私の頭上に、女の子の罵声が浴びせられる。

「終わったなんて嘘よ。それが彼の手口だもの。あなたも騙されちゃいけない。

私だけじゃないわ、他にも女はいっぱいいるの、あんたなんか5番目の女なんだから、

フタマタどころじゃないんだから、5番目なんだから、彼女になれたからって

いい気にならないことね」

悪いことは言わないから、彼から早いうちに手を引きなさい

と、女の子は言った。

二股どころじゃなく、5番目だから五股?

果たしてそんな言葉があるのか疑問だけれど。。。

女の子が去ったあと、彼は私の手を放した。

私の前に立つ彼の顔を見上げる。

彼は困ったような顔をして私を見ていた。

「さっきのあれ、信じる?」

私をじっと見つめる目は、私を騙しているような浮気者の目には見えなかった。

それに、たとえあの女の子の言った言葉が真実だとしても、彼は私を選んでくれた、

私の気持ちに応えてくれたのだ。

たとえそれが、5番目の彼女の座だとしても、選ばれたことは嬉しいことだった。

彼の問いかけに、すぐに私は答えた。

「ううん、信じない」

私はアナタを信じます。

そういう意味をこめて彼の手を握った。



彼が他に何人の女と付き合っていようが、どうでも良かった。

本当のことなのか、単なる噂なのか、その後も私の耳には彼の浮気疑惑が入ってきたけれど、

真実を確かめたいとは思わなかった。

彼に追求して、困らせるようなこともなかった。

友人達は、私のことを「都合のいい女」だとバカにしたけれど、

私と会うときの彼は、私がこの世で一番幸せだと実感させてくれたから、

都合のいい女でも、良かったのだ。

少なくとも私は、彼の一番だった自信がある。

それくらい、彼に大事にされた自信があった。

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