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あの森の夢を見た

あの木にはまだ、あの自転車が立てかけられたままで、相変わらず僕は、あの森のそばに通っていた。
木を背もたれにして、足を投げ出して座った。
森の奥をじっと見つめていると、いつのまにかものすごい眠気に襲われたんだ。
あれはきっと夢。
眠っている間に見た夢だと思う。
僕は、ふらふらと森に誘われるように奥に入って行ったんだ。
すぐに色とりどりのキレイな花たちが、道の両方にたくさん揺れているのが目に入る。
「こんにちは」
「ようこそ」
「やっときてくれたのね」
空耳だと思うけれど、花たちは揺れながら僕を歓迎してくれたんだ。
歓迎されているんだと思えたけれど、急に不安になった僕は、怖くなってすぐに森の入り口に向かって走り出しちゃった。
はあはあと息がきれる。
顔をあげると、あの自転車はちゃんとそこで待っていてくれた。
「なんだったんだろう」
つぶやくと同時に、ハッと我に返った。
僕はあの木のしたで、身体を横たえるようにして眠っていたようだ。


あれはきっと夢。
花がしゃべるなんて、ありえないもの。
きっと夢。
あたりは少し薄暗くなっていた。お腹がぐーっと鳴ったので、僕は家に帰る。
ご飯を食べながら考えたことは、明日もきっと森に行くだろうなってことだった。
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誰が森につかまっちゃったんだろう

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決して森の奥には入っちゃいけないよ。
そういつもお母さんに言い聞かされていた。
もう耳にタコが出来るくらいに。
今日遊びに行ってみると、森の手前にある大きな木の根元に、一台の自転車が置き去りになっていた。
誰が乗ってきたんだろう。
周りを見回すけれど、誰の姿も見えないんだ。
ボクは森の奥にじっと目を凝らす。
もしかして、お母さんに知らされていないその人は、森に呼ばれちゃったのかもしれない。
嫌だと言えるはずもなく、暗い暗い森の奥の、あの、小さな輝きに誘われるまま行っちゃって、そしてつかまっちゃったに違いない。
いったい誰だろうと思うけれど、確かめることはきっともう出来ない。


僕はどうしても気になって、次の日もあの森の近くに出かけて行った。
自転車はまだそこにある。
昨日の夜に降った雨が、自転車を濡らしていた。
雨粒が、太陽の光に反射してきらっと光る。
「呼んでる?」
きらきらと瞬くような雨粒の光りが、「助けて」と語りかけているように感じた。
自転車のひとが、助けを求めているのかもしれない。
僕はもう一度、森の奥をじっと凝視する。
今は朝だ。
いくら暗そうに見えたって、森の中も夜じゃないんだし、きっと明るいはずだ。
僕は森のほうへ、一歩足を踏み出した。
『森の奥には行っちゃダメ』
ふいに頭の中で聞こえたお母さんの言葉が、僕を現実に引き戻す。
気になるけれど、僕はお母さんの言いつけどおり、森の奥には行かなかった。
だけど、もう少し大きくなったら、行くかもしれない。

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