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恋にとどかなかった~大和のその後


惜しくも? 梨々との恋に破れた大和。

その後どうなったんでしょうか。と言うことで続きを書いてみました。

高校を卒業した後のお話でお届けいたします。



 恋愛に関して、真面目に取り組んだことがないとか、相手が変わるサイクルが早いとか、熱しやすく冷

めやすい、などなど。

 俺が片想いしていた梨々の親友、苺花に対する梨々の分析結果だ。

「元気出しなさいよ、大和!」

 その苺花に、背中をバシッと叩かれる。

「カラオケでも行こうか? もちろん大和のおごりで」

「はあ? 何で俺のおごりだよ」

「私と二人でカラオケなんて、お金払ってでも行きたいって男、たくさんいるのよ。大和くらいなもの

よ、私に冷たいの」

 じゃあ、他の男と行けばいい。

「やっぱり目の当たりにすると、辛いよね。いいよ、大和。今日は特別に私がおごる。行こう」

 苺花が俺の腕を引っ張ったとき。

「苺花」

後ろから苺花の恋人であり、梨々の叔父にあたる雅人の声が聞こえる。

「この後、会社の奴らと二次会なんだけど、苺花も一緒に行くか?」

「どうしようかなー」

この雅人ってやつ、苺花とは、結婚の約束をしているとか、いないとか。

確か俺たちより10くらい年上だっけ。

「大和はどうする? 二次会行く?」

「俺はいい。行かない」

「じゃあ、私も行かない。雅人、楽しんできていいよ。私、大和と帰る」

 雅人の視線が俺に移った。そしてすぐに苺花に目を戻す。

「俺は抜けられないからな。悪いけど大和くん、苺花のこと頼むね」

 そう言って、雅人が苺花の手に、お金を握らせた。

「じゃあな、苺花。タクシーに乗ってちゃんと帰れよ」

雅人の後姿を見送った苺花は、何故か深いため息を落とした。

「良かったのか、行かなくて」

「いいのいいの。会社の人といたってつまんないし、梨々と涼のラブラブなの、これ以上見たくないのよ

ね。大和もそうでしょ」

「そりゃあ、まあ。そうかもな」

 梨々に失恋して以来、自分なりに気持ちを整理できたと思っていた。ちゃんと梨々のことは、卒業する

まで友達として付き合えたと思う。もう何とも思っていない。ちゃんと二人を祝福できるはずだ。

 そう確信できていたからこそ、今日こうして梨々と涼の結婚式に出席を決めたのだ。

 あっと言う間だったな。

 高校を卒業して、こんなにすぐ結婚だなんて。 

 でもいざ幸せそうな二人を見ると、やっぱり胸のどこかがチクッと疼いた。

「行こう、カラオケ」

 苺花に促され、立ち上がる。

「帰るんじゃねーの?」

「せっかくお小遣いもらったから、奢るってば」

 苺花はさっき雅人にもらった5000円札をヒラヒラと目の前で振ってみせる。

「それ、帰りのタクシー代じゃね?」

「いいの! もうこのお金は私のものだし、どう使おうと自由だもん」

「はー、やな女だな、おまえ」

 今に始まったことではないが、苺花の行動、言動には呆れるを通り越して、もはや理解不能。

「行くの行かないの!」

「いいよ。雅人さんに頼まれたし、ほっとくと苺花、どっか行っちゃうだろ。しょうがねーから行ってや

るよ」

 しぶしぶついて行った風を装ったが、俺は苺花以上に歌いまくってしまった。

 歌に何もかもをぶつけるように。

 そして、引き出物の中に入っていたケーキや赤飯などなどを、持ち込み禁止のカラオケボックスで、し

っかり全部食ってやった。

 二人で4時間歌いまくり、店を出る頃には、かなりスッキリしていた。



 大通りに出て、タクシーを拾おうとするが、土曜の夜だからか、なかなか空車が見つからない。

「大和、帰るのやめようか」

「は? 何それ」

「その辺に泊まっちゃおうか」

 また苺花がバカなことを言い出す。

「彼氏いるんだろ。俺たちそーゆんじゃねーだろ」

 俺は苺花のそういう誘いは一切無視なんだ。

「別に大和とエッチするつもりじゃないのに。眠いんだもん。眠りたいだけなのに大和ったらエッチなこ

と考えちゃって」

 肘でわき腹をつつかれる。

「眠るだけなら尚更じゃんか。わざわざ泊まらなくたって、帰って寝ればいいんだ」

「タクシーつかまんないから、言ってるんじゃない」

「駅のほうにタクシー乗り場あっただろ。少し歩くけど、行くぞ」

 苺花には付き合ってられない。

 先に歩き出した俺の背に、苺花が文句をぶつける。

「もー、大和ー。足が痛いのー。待ってよー」

 履きなれないヒールの高い靴。さっきから痛そうにしているのには、気がついていた。

「世話の焼ける女だな」

「おんぶして、大和」

「は? 何甘えてんだ。腕につかまれよ、腕に」

「ひゃはは、大和が赤くなったー」

 すぐそうやって苺花は俺をからかうんだ。

 

 梨々に失恋して以来、こんな調子で苺花は俺に構ってくるようになったが、正直言って時々困る。

 スキンシップ過剰だし、冗談ばかり言うのだ。

 俺を振り回して楽しんでいる。

 苺花のいいおもちゃになっているんじゃないだろうか。

 あれしろ、これしろと要求は多いし、苺花の奴隷にされているんじゃないかと疑うこともある。



 早く彼女でも作って、苺花から解放されたいとしみじみ思いながら、

苺花を抱えるようにして駅まで歩いた。
 





引き続き、「恋にとどくまで~苺花の恋」を書こうと思います。

苺花と大和が、恋人同士になる……のかな?? 苺花の想いが大和に届き、大和が苺花を好きになる。

……はず。

その恋の成就までの過程を、書いてみようと計画中。

無理かな。無理そう? いえ、恋人同士にしてしまいます!!(強引にではなく、自然にですね)


近日公開予定!


ご期待ください。(期待しているかたがいらっしゃるならば、ですね)
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恋にとどくまで~梨々の恋 ファイナルstep

20step



 都市高速に乗って、西の海岸へたどり着いた。

 夜になるとライトアップされるタワーが近くに建っている。

 車を駐車場に止めてから、涼が言った。

「俺ってさ、付き合ったら違ったって言われるんだ。なんか俺、クールなイメージあるみたいなんだけ

ど、実際違うから。軽く付き合えそうとか、遊び相手程度に扱われるんだ。いつも俺のほうがはまって、

本気になったら捨てられる」

 そう言うの、嫌だからさ、と涼は前置きするように梨々に言った。

 前置きはいいから、早く付き合うかどうするかを言って欲しいのに。

 ちょっとイライラしながら、涼の言葉の続きを待った。

「さっき、大和といるのを見たときに、ああ、とっくに大和と出来てたんだって思ったよ。やっぱり一ヶ

月は長かったのかなって、少し後悔して……」

「後悔役立たずなんだから、後悔するくらいならさっさと言えばいいのよ」

 梨々は頬を膨らます。

「後悔……そうだよね。確かに役立たずかも」

 涼は笑って、ホントは先にだけどね、と良くわからないことを言った。

「梨々はちゃんと待ってるのよ。今だって、涼に生殺しなのに、待ってるの。早く言って欲しいのよ」

「待っててくれたんだ、梨々ちゃん」

 うなずくと涼は、車の窓を開けた。

 外の冷たい空気がすーっと入ってきて、わずかにぶるっと震える。

「あ、ごめん、寒かったね」

 再び涼は車の窓を閉める。そして、窓越しにそこに見えるタワーを指差して見上げた。

「あそこの展望台で、結婚式できるんだ」

「結婚式?」

 急に何なの?

 戸惑う梨々に、涼は微笑みかけてくれる。

「あそこで、結婚したいって前に付き合った彼女に言ったんだ」

「……涼が、言ったの?」

「そう。そうしたら鼻で笑われた。夢見すぎだって」

 思い出したのか、涼は遠い目をして苦笑いをする。

 梨々はタワーを見上げた。

 まだ夜と言うには少々明るいが、夜になるとライトアップされるタワーのキレイなことは、見たことが

あるから知っている。

「梨々はどう言う? バカみたいだって笑う?」

「笑わないよ。梨々だって、あんな高いところから夜景を見下ろしながら結婚式なんて、いいなって思う

もん」

「そっか。じゃあ梨々と一緒に俺の夢、叶えようかな」

「へ?」

 梨々は涼の顔を、首をかしげつつ見つめてしまった。

「言ったじゃん、梨々。俺と結婚しようって」

「ええっ」

「驚くなよ。自分のセリフだろ。それともあれは、その場の思いつき? 嘘だった?」

「そそそ……そんなことないっ」

 梨々は大きく左右に首を振る。

「永遠に、俺が好きって言った梨々の声が、あっち行ってる間ずっと頭の中で何度も繰り返し聞こえるん

だ。うるさいくらい」

 涼は、シートベルトを外すと、左手を助手席の背もたれ部分に回してきた。梨々の背中に触れそうで触

れない距離に、涼の温度を感じてしまう。

「ずっと何度もシュミレーションしてた。梨々と付き合ったらどうなのかなって。ずっと考えたよ」

 涼の指が、梨々の髪に触れる。身体がゾクッとする。

 心臓が、飛び出しそうに高鳴っている。

「クリスマスに、俺が彼女に振られて。梨々が遊びにきてくれた。思えばあのときすでに意識し始めてい

たんだろうなって。大晦日の夜に迎えに行ったのだって、物産展のとき、カフェで待ち合わせたのだっ

て、会いたいと思ったからなんだろうなって、今になって思うんだ」

 なのに、そらしてばかりでごめんね、と涼は申し訳なさそうに謝ってくれた。

「自信がなかったんだ。いや、自信って言うより、勇気かな? 次の恋に踏み出す勇気。それから、梨々

を信じきれていなかった。言い方は悪いけれど、この一ヶ月間、試したってことになるのかもしれない。

梨々ちゃんの気持ちも。そして俺自身の気持ちも」

 梨々から見れば、大人に見えて、何でも余裕でこなしているようにしか思えなかった。カッコ良くてカ

ッコイイ涼にも、こんな一面があったなんて。

「もう一回、確認していい?」

 涼の目が、じっと梨々の目を捉える。

「大和とはなんでもないんだな?」

「ないっ」

 大きくうなずいた。

「俺が、一番?」

「そうだよ、涼が梨々の一番っ」

「ずっと?」

「ずっとずっと永遠に一番だって、い、言ったじゃん」

 涼の顔が、梨々に近くなる。

 ぐっと抱き寄せられ、少しでも顔を動かせば涼に食べられてしまいそうな距離だ。

「梨々、俺……束縛するよ?」

「い……いいよ。ひ、紐でぐるぐる巻きにして縛ってもいいよ」

 声がメチャクチャうわずってしまう。

「いつも会いたいって言うよ? ウザイって言われるくらいしつこくても平気?」

「平気だよ、涼」

「ホントに、一番……だよな?」

「一番!」

 しつこく確認され、梨々もそれにちゃんと答えた。

「じゃあ、梨々。約束しよう。あのタワーで俺と梨々、結婚式しよう」

「け……結婚っ? ほんとなの?」

 涼からプロポーズだよ。何これ。夢?

「これ、交換じゃなく改めて買ったんだ」

 梨々の指に、涼が指輪をはめてくれた。

 クリスマスにもらいそこねたネックレス。それがこんなカタチで返ってくるなんて。

「いつだって、付き合うときは真剣なんだ。結婚したいって考える。なのに、いつだって、叶わないまま

振られ続けてきたんだ。もう嫌なんだ、そういうの。梨々も本気じゃないなら断るのは早めにしろよ。じ

ゃなきゃ、俺、放さないよ?」

 涼の左手が梨々の後頭部を引き寄せる。と同時に右手も背中に触れた。

 涼の腕の中に梨々……入ってる。

「梨々、答えは?」


「あ……有難く受けて立つに決まってるじゃん。梨々の本気なんか、涼よりもっとずっとすっごい大きい

んだから。涼こそ、梨々に束縛されて逃げられなくなって、後悔しないようにしなさいよねっ」

「わかった。梨々の本気、全部もらうね」

 涼が、梨々の頭ごと抱きしめてくれた。

 てっきりキスしてもらえるかと思っていたのに、外れちゃった。

でも、梨々の耳から聞こえてくる涼の規則正しい鼓動が、ちょっとだけ早いと感じて、何だかとっても幸

せな気分になった。

「あのね、涼。梨々……」

 涼の胸に抱かれたまま、梨々は涼に伝えた。

「進路調査票……書かなきゃいけなくて。それで、梨々……」

「進路?」

 涼に、身体を離されてしまった。不審げに見つめられる。

「進学するの、やめたくなった。梨々……それに涼って書こうかな」

 こんなことを言えば、笑われるか呆れられるかのどちらかだと思うのに、涼はそのどちらとも違う反応

で返してくれた。

「いいよ。俺に永久就職って、書いとけ」

 冗談ぽく涼が笑う。




 両親に放任されて、ずっと寂しかった。



 だけど、もうひとりじゃない。



 ずっと憧れていた涼の腕の中で、梨々は幸せな気持ちでいっぱいに満たされていた。

 涼の全部を独り占め出来るんだ。

 これからずっと、一生涼を見ていても怒られないんだ。

 こんな幸せなことが、夢みたいなことが現実になった。

「梨々の恋、涼に届いちゃったね」

 梨々が言うと、涼は俺の恋だってそうだよって笑ってくれる。

「これからが大事なんだよな。想いが通じ合うことばかりにとらわれてたけど、これから、どう続けてい

くか。長く一緒にいると、嫌なことにもきっと突き当たる。それをどう乗り越えるかが大事なんだよな」

 物語だと、ここでハッピーエンドなんだけど。

梨々と涼は、ここからもちゃんと続編が待っているのだ。
 
たいてい、続編は何らかの事件が起こるんだ。だけど、たいてい、それを乗り越えて、より深いつなが

りがもてるんだ。


 そんな風になりたいと思う。


 そしていつか、梨々はきっと、幸せな家庭を作る。


 涼と一緒に。


 ふたりだったら、きっと幸せにも届くだろう。




 涼がくれた指輪が、幸せな未来を約束するよって言っているように、梨々の薬指でキラリと光った。




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恋にとどくまで~梨々の恋 19step

19step



 家に帰ると、玄関の前に大和が座り込んでいた。

「大和、梨々を待ってたの?」

 声をかけると、大和が顔を上げて梨々を見た。

「うん。待ってた」

 大和は言って、立ち上がりながらジーンズについた砂埃をはたく。

 チラリと視線を移すと、大和が乗ってきたらしい自転車が止めてあった。

 すでに私服だし、1回帰ってから自転車で来たのだろうとわかる。

「ドラクエ……。魔法のじゅうたんがどこにあるか、わかんねーって梨々が言ってたじゃんか。教えてや

ろうと思ったんだ」

「ありがとう。そうなの、見つからなくて困ってた」

 笑って大和を部屋にいれようとしたが。

「あのさ、梨々」

「どうしたの、大和。早く入りなよ」

 玄関先で靴も脱がないまま、大和が梨々をじっと見つめる。

「俺と付き合って、梨々」

「……え?」

 大和の言った言葉の意味が、すぐには理解出来ず、梨々は固まっちゃった。

「好きなんだっ。彼女になって、梨々」

「え……あっ」

 腕をぐいっと引っ張られたかと思うと、梨々の顔と大和の身体がぶつかった。

 背中に大和の腕が回って、梨々は大和に抱きしめられたって気付いた。

「ウソなんだ」

「え……え??」

 何が何だか混乱してた。

「苺花をスキって言ったの。あれ、嘘だったんだ。ホントは梨々が好きだったんだけど、梨々は涼ってや

つのことしか眼中になかっただろ。俺の気持ちなんかちっともわかってない。そんなのに、梨々が好きな

んか言えなくて、つい照れ隠しだったんだ。苺花は好きじゃない。梨々の友達だから話はするけど、そう

じゃなかったら苦手なタイプだし話しもしてないよ」

 一気に大和に告白……だよね。告白されちゃった?

 いくら鈍感な女の子でも、こんなに抱きしめられて好きって言われれば、大和の気持ちに気付くよ。



 ……ん?



 鈍感な女の子?



 苺花が言ってた。



 ……大和。


「あ……」

 苺花が言ってた……大和の気持ちに気付かない……鈍感な女の子って……。

「梨々だったのっ?」

 気がついて、びっくりして梨々は大和の身体を両手でぐいーっと押した。

 そして目の前で梨々を見下ろしている大和をじっと見つめる。

「大変だよ、大和」

「え……大変?」

 大和が首をかしげる。

「そうだよ、苺花は大和が好きなのよ」

「へ……?」

「良かったじゃん、苺花と両想い……って、あれ?」

 梨々、再び混乱した。

「あの、何言ってんの、梨々」

 大和に怪訝そうな目で見られる。

「……そっか。そうだったんだ」

 頭の中で、整理した。

 苺花が好きなのが、大和。

 大和が好きなのが、梨々。

 梨々が好きなのが、涼。

 涼が好きなのは、……?

「あれ?」

 再び、梨々はパニックになった。

「梨々、涼が好きなのが誰かわからないの」

「……なんだよそれ。意味わかんねー。それより梨々、俺さー今、梨々に告白したつもりなんだけど、届

いてない?」

 梨々から時々視線を外すような仕草で、大和は怒ったような表情で続ける。

「苺花の話とか、涼の話は今どうでも良くね? 俺の話をもっと真面目に受け取って欲しいんだけど、無

理?」

「うん。それはそうなんだけど」

「俺の告白なんか、考えるまでもないってこと? それよりもっと大事なこと、梨々は考えてる。そりゃ

そうだよな。俺にとってはずっと考えていた気持ちだけど、告われた梨々にしてみればいきなりだし、俺

は苺花を好きだと思われていたんだし、驚くのも無理ないし……」

 大和がイロイロ説明している言葉が、梨々の耳を通り抜ける。

 ちっとも理解出来ないくらい、梨々は混乱していた。

「で、結局のところ俺は梨々に告ったものの、砕けるんだろ、涼が好きなんだし、それは承知の上だっ

た。言わずにいるの、苦しくなったんだ。友達のままでこうして遊んでるのも楽しいけどさ、辛いんだ。

だからいっそ、当たって砕けろって気持ちだった。だからいいよ。言ってすっきりしたし。梨々に俺を好

きになってもらえる確率、ゼロに等しいってわかったし」

「……大和、梨々は……」

「涼ってやつの返事、もうすぐもらえるんだろ? いい返事だといいな」

 大和は泣きそうに一瞬顔を歪めたけれど、無理やり笑顔を作ると、じゃあなって言って自転車に乗って

帰ってしまった。

 大和の姿が見えなくなると、何だか寂しくなった。

 梨々って鈍感。

「梨々」

 梨々の心の声と、誰かの言葉が重なった。

 声のしたほうに顔を向ける。

「涼……」

 一ヶ月ぶりに見る涼の顔。

 梨々の目の前に、梨々の好きな涼がいる。

「悪い。声かけられなかった。なんか、大事な話をしていたようだったから」

「いつからいたの?」

「梨々が帰ってくる前から、そこに」

 涼が指した方向に、涼の車が止まっている。

「声は聞こえなかったけど、抱き合ってたのは見えた」

 ずっと見られていたんだ。

「見ないでよ」

「見えたんだよ。車に気付けよ」

「気付く前に教えてよ」

「邪魔しちゃ悪いって思って、遠慮したんだ。あれが大和?」

「大和だよ」

「付き合ってんの? 俺が待てなくて付き合っちゃった?」

 涼がそう思うのも無理はない。

 だって、大和に抱きしめられていたんだ。

「付き合ってないよ。大和が勝手に抱きしめただけだもん。梨々のことが好きなんだって。でもね、梨々

は涼が好きだからちゃんと断ったんだからね」

 梨々は、涼が口を挟むスキがないくらいに一気に捲くし立てた。

「いいじゃん、もう断ったんだし。それより涼、梨々に会いにきたんでしょ、返事でしょ、早く言いなさ

いよ」

「会っていきなり言えって? 梨々ちゃん、意外に気が短いね」

「だって、こんなに待たせておいて……その上まだ待たせるなんて、……何とかの生殺しってゆーのよ」

 なんだっけ。

「そうだね。ごめんね、一ヶ月も保留にしてて」

「そうよ!」

 何の生殺しだっけ。

「ちょっと軽くドライブしない?」

「……いいけど」

 嬉しい。涼とドライブなんて。

 大和の告白に驚いたし、大和が帰ってしまってちょっとだけ悲しかったけれど、感傷に浸る間もなく涼

に会えてしまったから、大和のことを考える余裕がなくなってしまった。

 ごめんね、大和。

 大和の気持ちは嬉しかったけど、梨々はやっぱり涼がいいんだ。







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★あ~あ、大和砕けちゃった。
 何とも思っていない男に対して、女の子は時にひどく残酷なのでした。

 次回は最終話。 時間延長(字数延長?)でお送りいたします。

 たぶん大丈夫と思いますが、文字数オーバーになったらもう一話?

恋にとどくまで~梨々の恋 18step

18step



 
 今日は、苺花を雅人に会わせる約束だった。

 学校帰りに雅人の会社に、苺花と寄った。

 雅人とはまだ、気まずいままだ。だから連絡をしないまま、いきなり訪ねた。

 苺花を紹介して、さっさと退散するつもりだった。

 苺花なら取り残したって、きっと自分で何とかするに決まっている。

 梨々がついていなくたって平気に決まっているからだ。

「こんにちは」

 いつもより小さな声で、ちゃんとノックをしてから扉を開ける。

「おお、梨々っ」

 雅人は梨々に気がつくと、ぴゅんっと入り口まで飛んできた。

「ああ良かった。梨々に連絡しないとって思っていたのに、なかなかできなくてすまなかったね。でも

梨々から来てくれて嬉しいよ……あれ?」

 雅人は、梨々の後ろにいる苺花に気付いたようだ。

「あ、友達の苺花」

 紹介すると、雅人は「ああ」と、満面の笑みを浮かべて苺花に向き合った。

「梨々からいつも話は聞いてます。そうか、キミが苺花ちゃんかあ」

 雅人をじっと見ていると、苺花の顔と胸元に視線が往復しているのが、目に見えてわかった。

「あのさ、雅人さん」

 梨々は唐突に言った。

「梨々ね、今日は用事があって忙しいの。だからお願い、苺花と遊んであげて」

「え、梨々……」

 雅人が何か言う前に、梨々は二人の前から逃げるように立ち去った。






 苺花と雅人がどうなったのか、気にする間もなく、翌日苺花のほうから教えてくれた。

「エッチしちゃった」

 梨々、言葉に出来なかった。

 放課後の帰り道、歩きながら苺花は、道の真ん中でくるくる回るような勢いではしゃいでいる。

「付き合うことになったの。このままだと私、梨々のオバサンになっちゃう~。どうしよう」

 どうしようなんて思っていない風だ。面白くてたまらないって感じに見える。

 正直に言って、苺花には呆れた。

 もちろん、雅人にもだ。

 梨々が、涼と遊ぶだけであんなに怒ったくせに、自分だってしっかり高校生に手を出してるじゃん。

「事務所で話をしているうちに、何だかエッチな雰囲気になってきたのよ」

 聞かないのに、苺花は勝手に話してくれる。

「雅人さんって、ステキですねって言ったら、苺花ちゃんも可愛いね。だって言うからさ、じゃあ付き合

ってくれますかってストレートに言ったわけ。そうしたら、ちょっと考え込むような素振りを見せた。す

かさず私のほうから抱きついてさ~、軽くチュッてしただけで押し倒されたわ~」

 雅人がそんな獣だったなんて。

 身内のそう言う話って、他人の話を聞く以上にリアルで気持ち悪い。しかも相手が苺花。

 それに、会社でしょ? あの事務所の空間でそんなことをするなんて。

 する前って、シャワーをするものじゃないの?

 あの会社に、シャワーなんかついてなかったはず。

 いくら冬でも、汗はかいているんだし、梨々だったら絶対イヤだな。

「やった責任はちゃんと取るからって、真面目な顔で言うもんだから、ちょっと引いちゃった。結婚でも

してくれそうな勢いだったよ」

 アハハと面白そうに、苺花は笑う。

「まあ、しばらくは付き合ってみる。エッチはまあまあだったな」

「しばらくって、真剣に付き合おうって気はないの?」

 あんまりだと思ったんだ。

 最初からその程度の気持ちで付き合うなんて。

 会ってすぐエッチするのもどうかと思うし、それに……。

 ……それくらいの気持ちで付き合えるなら、大和と付き合ってあげればいいのに。

 でも、大和が苺花に遊ばれるのも可哀相だ。

きっといいように利用されて、パシリにされてしまうに違いない。

 だったら、大和は梨々が……。

「真剣になれるような男が、他の女しか見てないのよっ!」

 急に苺花が怒り出す。

「苺花?」

 びっくりして梨々は足を止めた。

「あ、ごめん梨々……。梨々に怒ったってしょうがなかった」

 ハッとしたように苺花はすぐに謝ってくれる。

「もしかして、苺花。本命がいるの?」

 その男は誰か別の女を好きなんだ、きっと。

「そうよ。だから、彼以上の男を……捜してるんじゃん。なのに、ちっとも満たされないよ」

 苺花がうつむき、今にも泣き出しそうに震えてる。

「告白……したの?」

 おそるおそる聞いてみると、苺花はうつむいたまま、小さく首を横に振った。

「出来ないよ。断られたら私、死んじゃう」

「死んじゃうって、そんな……」

 誰にでも簡単に好きだって言って、簡単にエッチして、付き合って別れてって繰り返していた。

 その苺花が、振られたら、死ぬなんて。

「死んじゃうの。恥ずかしくて恥ずかしくて。本当に死んじゃうくらい落ち込むに決まってるの。だか

ら、見てるだけでいい。好きな女と、幸せになってくれればいいと思ってたけど。その女って、すっごい

鈍感なの。大和の気持ちなんかちっともわかってない」

「そっか。鈍感なんだね」

 あれ? 何だか違和感。

 苺花を見ると、両手で口元を覆って、激しく首を横に振ってる。

「どうしたの、苺花」

「ななな、何でもないっ。よ、用事、思い出したから帰るねっ」

 そう言うと苺花は、逃げるように梨々を置いて帰って行った。

「……あれ??」

 また梨々は、苺花に変なこと、言ったのかな。

 もしかして、また怒らせた?




小説ブログランキング 今日は更新してないから、下がっちゃった。



★次回は涼が帰ってきます~。
 たぶん。……まだかな? 
 帰ってきたら最終話。来なかったらまだ続きます。(いい加減な情報ですね~)

恋にとどくまで~梨々の恋 17step

17step




 たぶん、梨々が何かしでかしたのには、違いないのだろう。

 苺花が怒った理由がわからない。

 気まずいまま、約束の一ヶ月が終わった。

「梨々から連絡するわけには……いかないよね」

 今日も大和とゲームをしている。

「向こうが返事するって言ったんだろ。梨々からするのは変。ってゆーか、

それじゃあ向こうをいい気にさせるだけじゃんか」

「いい気にって……」

 大和は画面に目を向けたままだ。

「梨々にこんなに想われてんのにさ、待たせるなんて真似、平気でやってんの。

きっとすっげー自惚れてるんだぜ。いい気になってる。俺はこんなにモテるんだぜーって」

 とげとげしい大和の言葉だけど、否定する気は起こらない。

 だって、大和の言葉にも一理あるなって思ったんだ。

 でも、梨々は涼を信じたい。

「そんなに嫌な人じゃないもん。涼は、ちゃんと考えるって言ってくれた。断るつもり

だったら、こんなに待たせないよ。考えてくれるんだから、可能性あるんだもん」

 大和は振り向き、梨々に冷ややかな視線を向ける。

「何よ」

「いや。梨々って前向きだなーって思って感心してるんだ」

「感心? バカにしてるんじゃないの?」

 言葉がとげとげだもん。

「してねーよ。俺も、梨々の欠片ほどもその前向きさがあれば告白してるのになーって」

「苺花のこと?」

「ちっげーよ、バーカ」

 大和は急にコントローラーを床に置くと、立ち上がった。

「帰る」

「何よ急にっ」

「急じゃねーよ。もういいんだ、じゃあなっ」

 わけがわからない。

 急に不機嫌になって、あんな風にいきなり帰るなんて。

 苺花もだけど、大和まであんなに怒るなんて、もしかして梨々は気付かないうちに、

何かとんでもない言葉を発していたのだろうか。

 苺花も大和も、何も言ってくれないから、わかんないよ。






「梨々」

 次の日学校で、苺花が梨々に声をかけてきてくれた。

「早く紹介してよ、雅人さん。そうしたら梨々と遊んであげる」

 交換条件?

 それって、紹介しないと梨々とは遊んでくれないってことだろうか。

「絶交したいのっ?」

 詰め寄るようにして、苺花に言われ、梨々はついついうなずいた。

「わかった。紹介するよ」

「やったー、だから梨々って好きなんだー」

 廊下の真ん中で、苺花はぎゅーっと梨々の身体を抱きしめる。

 だから、みんなクスクス笑って通り過ぎて行く。

 梨々の身体に、苺花の胸が、押し付けられているような状態だから、

いくら同性とはいっても、何だか変な感じがする。

 大きいな、ふわふわだな、苺花の胸。

 梨々にはないものだ。

 苺花に一度、聞いたことがある。

 どうしたら、そんなに大きくなったのかって。

 そうしたら、たくさんエッチすればいいの~、なんて軽く笑ってかわされた。

 梨々も、涼といっぱいしたら大きくなるかな。

 そうしたら、苺花みたいに魅力的な身体になれるんだろうか。

「何やってんだよっ、邪魔」

 いかにも迷惑だと言うような声が、梨々の後ろから浴びせられた。

「あーら、大和」

 先に苺花が大和に気付いた。

 梨々の身体を解放すると、大和の前に立って、じーっと顔を見上げている。

「何か文句あるのかよ」

 大和がたじろいだ。

「ごめんなさいねー、梨々のこと抱きしめちゃたー」

 ふふんと笑って、苺花はくるりと方向転換して行ってしまった。

「なんだよ、あれ」

 苺花の後姿を見送りながら、大和が吐き捨てるように言った。

「最近、不機嫌なの」

 言ってから大和を見上げる。

「大和も……不機嫌だよね」

「ああ。この前のことだろ。悪かったな」

 あっさり「ごめん」と謝られる。

「子供っぽいよな、ダメだな俺も。まだまだ感情のコントロールが出来てない」

 前髪をかきあげながら、大和が、はあっとため息を落とす。

「大和、仲直りのしるしにドラクエしに来る?」

 窺うように聞いてみると、大和は嬉しそうに笑ってくれた。

 やっぱり、大和はドラクエが好きなんだな。



★鈍感天然梨々。。。18stepに続きます。


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